【記者座談会】大阪・関西万博の海外パビリオン建設遅れ/スポーツ未来開拓会議中間報告 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【記者座談会】大阪・関西万博の海外パビリオン建設遅れ/スポーツ未来開拓会議中間報告

◆日本側の代行を参加国に提案

A 2025年大阪・関西万博の施設建設工事が難航している。資材価格の高騰などを背景とした相次ぐ不調に加え、海外パビリオン建設の遅れを巡り、日本国際博覧会協会が代行することを参加国・地域に提案したとの報道も出ている。

B 国際博覧会担当も務める岡田直樹内閣府特命担当相は11日の会見で、万博協会が建設代行を参加国に提案したことについて、「25年4月の万博開幕までに全ての参加国のパビリオンの建設を完了させることが最優先である。その趣旨を踏まえ、万博協会として参加国にさまざまな提案を行っている」と述べた。参加国と施工事業者双方に対しての支援を表明し、受発注者合意に向け必要な対応を取る考えだ。

C 海外パビリオン施設整備は、国と万博協会が対応策をゼネコン各社に個別説明している。対応策には、参加国に対してデザインの簡素化によるコスト削減と工期短縮、予算増額を要請することのほか、貿易保険の活用なども盛り込んだ。海外パビリオン施設の工事受注を促すのが目的とみられる。

B 資材価格高騰による減益などを背景に、在阪各ゼネコンは万博会場内の工事のみならず、万博以外の工事受注にも慎重になっている。建設産業の“2024年問題”にも直面し、時間外労働の上限規制への対応も迫られるため、突貫工事はできない。工事を担うゼネコン各社は相応の工夫が求められるだろう。

C 大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をコンセプトに、「未来社会の実験場」として世界の課題を共有する国を挙げた一大イベントだ。建設業界の新しい未来につながるきっかけにもなってほしい。

会場俯瞰図(提供:2025年日本国際博覧会協会) 25年4月の万博開幕に向け、参加国のパビリオン建設はぎりぎりの段階になりつつある

スタジアム・アリーナを核にまちづくり

A 話しは変わるけど、スポーツ庁と経済産業省が設けていた「第二期スポーツ未来開拓会議」の中間報告がまとまったようだね。

D 今後のスポーツ産業の成長に向けて、「みる」スポーツのさらなる拡大と地域スポーツの発展を柱に据えた。スポーツ産業は市場規模を19年の9.5兆円から、25年までに15兆円に拡大する目標を掲げている。この目標達成に向けた取り組みの方向性や具体策を示した。

E 建設産業も携わるスタジアム・アリーナ改革では、スタジアム・アリーナを核としたまちづくりのさらなる推進を打ち出した。スタジアム・アリーナは近年、民間活力を活用した指定管理者制度やPFIコンセッション方式、企業版ふるさと納税制度などによる施設整備事例が増えている。ただ、施設整備を含めた改革を一層推進するには、資金調達を支援する制度の在り方を引き続き検討する必要があると指摘した。

F スタジアム・アリーナの整備は、地域にあった魅力的な施設像の探求とともに、スポーツ用途以外の機能を加えることで投資を呼び込もうとする動きが広がりつつある。このため、中間報告では、スタジアム・アリーナを地域活性化の「新しい公共インフラ」として位置付けると強調した。その上で、投資拡大に向け、施設が持つ経済的・社会的価値を定量化する手法と民間投資促進策の検討を求めた。

D 政府の「PPP/PFI推進アクションプラン」に基づく「重点分野実行計画」では、スタジアム・アリーナなどスポーツ施設のPPP/PFI導入案件候補として、コンセッションを含め30件を設定した。いずれにせよ、施設を核としたにぎわいのあるまちづくりには、魅力ある施設だけでなく、その施設に多様な価値を付け、収益モデルを確立しなければならないね。

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