【2025年大阪・関西万博】"新時代の先駆けに" 会場デザインプロデューサー藤本壮介氏の思い | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

公式ブログ

【2025年大阪・関西万博】”新時代の先駆けに” 会場デザインプロデューサー藤本壮介氏の思い

 2025年大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーを務める藤本壮介氏(藤本壮介建築設計事務所)は、16日に大阪市内で開かれた特定非営利活動法人アートアンドアーキテクトフェスタ(AAF)主催のトークイベント「217」に出席し、「万博は、本当の意味でのつながる感覚、自分が世界の一員と実感する感覚が体験できる貴重な場となる。新時代の先駆けとなる万博にしていきたい」と思いを語った。

藤本氏


 藤本氏は「万博の面白いところ、すごいところは、夢洲という限られたエリアに全世界の文化と人がやってきて、半年間同居する不思議な感覚」と話し、「コロナなどで世界が混乱している中にあって、期間中はそこに世界がある。そして、来場した人は世界の中心に居ることになる。それはとても尊いこと」と述べた。

 また、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」について「命はいろいろなものがつながって初めて成立するもの。最近はテクノロジーによってつながっているように思っているが、逆に分断が加速しているようにも感じる。万博会場では来場者と世界がリアルにつながることができる」と話した。

 同じく万博プロデューサーを務める映画監督の河瀬直美氏の作品についても触れ「自分の人生と他人の人生などいろいろなものが、河瀬さんの言葉を使うなら『紡ぎあって』鮮やかに表現されている。そのような『つながり』を建築でも表現する方法があるはず。面白いことができないかと考えている」と話した。

 トークショーは、AAFの代表を務める平沼孝啓氏(平沼孝啓建築研究所)と芦澤竜一氏(芦澤竜一建築設計事務所)がホストを務め、ゲストの作品レクチャーを通じ、ディスカッションした。藤本氏は、円柱状の建築から四方八方にバルコニーが飛び出したフランス・モンペリエの集合住宅や故郷・北海道東神楽町の合同葬祭場整備事業、施設の周囲をサークル状に樹木が囲う「東神楽町複合施設」などのプロジェクトを紹介した。

 芦澤氏は「昔はプランをこねくり回して随分奇抜なものをつくっていたが、歳を重ねてシンプルになった」と話し、藤本氏は「岩手県陸前高田市の『みんなの家』の事業に携わってから、周囲に寄り添い、耳を傾けて素直に取り組むことの大切さを感じるようになった」と語ったが、その直後に高低差を活用した土手や不思議な塔を配置した群馬県前橋市の「白井屋旅館」のリノベーション、超高層ビルの頂部の壁を抜いて、ガラス張りの空間に丘をつくった東京駅前の「トーチタワー」のプロジェクトを紹介した。平沼氏は「ついさっきまで『素直に』と言っていたのに」と絶句。藤本氏は「塔がたくさん集まった夢のまちみたいなものをつくりたい」と目を輝かせて話し、来場者の笑いを誘った。

作品レクチャー通じ、ディスカッション

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら