【新橋虎ノ門まちづくり】海外も注目! 日比谷線新駅の魅力と役割とは? | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【新橋虎ノ門まちづくり】海外も注目! 日比谷線新駅の魅力と役割とは?

 2016年以降、三井不動産などが日本橋で展開するライフサイエンス構想は、医療分野のビル建設やハブ機能を整備し、多数集まる製薬メーカーや商社による新薬開発力の強化を目指している。外資にとって“儲かるまち”となるビジネス拠点をつくったのだ。その際、投資家やベンチャー企業からは、大使館機能を望む声があったという。

建設工事が進む病院棟(左)。現病院棟(右)の解体後にオフィス棟を整備する

 一方、新橋・虎ノ門エリアは霞が関に隣接し、米国大使館と州開発公社が多数存在することから、ある投資家が、「ここには米国と日本がある。グローバルゲートとして絶好の立地」と高く評価する。都市再生機構(UR)の中條由規東日本都市再生本部都心業務部虎ノ門エリア計画第1課長は、「どんなに頑張っても誘致できない中央官庁や大使館といった圧倒的なアドバンテージを強みに変えていくことが、まちづくりのポイントになる」という。
 同エリアで取り組む目玉の1つが20年東京五輪前に誕生する「虎ノ門ヒルズ」駅だ。1964年に全線開業した日比谷線にとって“新しい駅”となる。国道1号の直下に位置し、鹿島・大林組JVの施工で掘削工事と地下構造物新設が進む。
 一般的に鉄道事業者が主体となる駅整備だが、虎ノ門ヒルズ駅の事業主体はURで、東京地下鉄はURから受託した設計・工事を担当している。学識経験者、鉄道事業者、自治体、国で構成する委員会において、駅とまちづくりの連携の必要性が強まり、特定都市再生緊急整備地域の整備計画でURが新駅事業の実施主体として位置付けられた。
 中條課長は、「開発と連携した新駅は、これまでの地下鉄駅になかった駅広場空間を持ち、この空間を介してまちとつながっていくことでエリアを支えるインフラとなる」と見据える。
 虎の門病院建て替えを契機にした虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業は、URと国家公務員共済組合連合会(KKR)が個人施行者となって進む。延べ約8万5500㎡の病院棟と同18万0500㎡のオフィス棟からなるエリア内屈指のビッグプロジェクトだ。
 2棟は発注者が分かれる。病院棟はKKRが発注し、戸田建設が実施設計と施工を担当、3月末竣工を目指して工事が進む。“病院らしくない”外観により、オフィス棟を含めたエリアの一体性が保たれている。URが日本設計・三菱地所設計JVに業務棟の基本設計を委託する際に工夫してほしいことを伝え、「デザインテイストをそろえた」(同第1課の小松語担当課長)。完成時にはあたかも一体で設計したような姿を見せる。
 個々のプロジェクトで完結せず、それらをつなげていくことが同エリアの目指すところ。大丸有(大手町・丸の内・有楽町)の三菱地所、日本橋の三井不動産のようなまちづくりの船頭がいない同エリアは、横の連携と意思統一の難しさが伴うのも事実だ。まちのつくり方が多様化する中で、各プレーヤーは、それぞれの主張に固執せず、エリアとしての価値をつくるまでに意識を共有できるかが問われる。
(山口浩平)

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