【日本建築仕上学会女性ネットワークの会】設立5周年で記念誌発行! 業界の女性活躍を多数紹介 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【日本建築仕上学会女性ネットワークの会】設立5周年で記念誌発行! 業界の女性活躍を多数紹介

 日本建築仕上学会を母体とする女性ネットワークの会が、設立5周年を記念して電子書籍『今、建築仕上女子がアツい!』を発行した。技術開発に携わる女性たちの思い、建築仕上業界で女性が働く意義や課題をテーマに、男女30人の寄稿のほか、特別企画として日本建築仕上学会の会長を交えたクロストークなどを掲載している。同会の代表を務め、記念誌の編集に携わった熊野康子大和ハウス工業総合技術研究所信頼性センター耐火耐久性能グループ主任研究員は、集まった原稿が「誰もが一生懸命書いた、と伝わってきて、大変感動した」と振り返る。
 女性ネットワークの会は、外装材、内装材など建築の仕上材料に関する研究発表会や討論会を実施している「日本建築仕上学会」を母体とし、2014年1月に発足した。現在は男性も含む20-40代の運営委員24人で活動している。
 14年5月の第1回講演会以降、東京都台東区の東京都美術館で毎年主催する講演会には、建設業界で活躍する女性を招いてきた。特別講演の講師として、▽第1回=川口とし子長岡造形大学教授▽第2回=服部道江さん(大林組)▽第3回=宮川理香さん(関西ペイント)、服部道江さん▽第4回=鳥生由起江大和ハウス工業人事部ダイバーシティ推進室次長--が登壇している。
 講演会の中では、運営委員が参加するトークイベントも実施している。建築現場で働く女性へのアンケートをもとに、働く上での悩みやライフプランの描き方などについて、実体験を交え意見を交換する。
 活動開始5周年となった18年には、東京、大阪、名古屋、札幌の4会場でパネルディスカッションを含む講演会を開催した。4つの会場で延べ約380人が入場し、過去最も盛況となった。
 講演会の参加者の約半数は男性だという。熊野さんは「女性だけで話しているだけでなく、女性も男性もいる場で、働きやすい環境づくりについてアピールしていきたい」と語る。男性参加者から「男性にも役立つ、女性活用推進の講演をお願いします」といったアンケートの回答もあるという。
 このほか、リフォーム&リニューアル建築再生展(東京都江東区)で女性用の作業服や仮設トイレなどを展示したり、建築現場や建材工場で見学会を主催したりと、多様な活動を実施。北海道など地方の建設産業展示会への出展や、ほかの建設系女子会との交流を通して、横のつながりも強化している。
 「16年度からいろいろな行事が立て込んできて、17年度以降は本当にたくさんの行事に参加できた」(熊野さん)と振り返るように、定期的に活動発表の場を設けることで、年々発展している団体だ。18年には名古屋と札幌から運営委員が加わり、タブレット端末を用いたテレビ会議なども進める。
 今回発行した『今、建築仕上女子がアツい!』には、これまでの講演会やパネルトークの内容に加え、技術開発に携わる女性たちの思いや、女性が活躍している現場の声を盛り込んだ。
 働く上でのさまざまな悩みが上がっている一方で、ロールモデルが周囲に少ない中、育児などと両立しつつ建設業界で活躍する前向きな経験談も多い。社内での女性プロジェクトの実施や、会社を挙げての女性活用の事例も豊富に盛り込んでいる。
 女性が開発した建材としては、東京スカイツリーの意匠性・耐久性を長期間維持するための外部鉄骨の防錆防食塗装として開発された「厚膜形ふっ素樹脂塗装」や、シックハウス症候群を防ぐための活性炭繊維、珪藻土、火山灰のシラスを使った内装建材などを紹介している。
 書籍の購入など詳細は、女性ネットワークの会のホームページで閲覧できる。熊野さんは「比較的小規模な企業の社員や、現場に立つ技術者など、普段働き方について考えを発信する機会の少ない方々の声を届けたいと思った」と話し、記念誌を通して、男性にも女性にも働きやすい環境づくりに役立つ情報が得られることを期待している。

設立5周年を記念して発行した電子書籍。女性たちの思いや現場の声を盛り込んでいる

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