【産学官が連携】埼玉県道路メンテナンス会議 遠隔地の橋梁診断を支援する取り組みを開始 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【産学官が連携】埼玉県道路メンテナンス会議 遠隔地の橋梁診断を支援する取り組みを開始

 埼玉県道路メンテナンス会議(会長・大儀健一関東地方整備局大宮国道事務所長)は27日、産学官が連携し、技術力に乏しい自治体が管理する橋梁の健全性診断を遠隔地からサポートする取り組みの試行を始めた。さいたま市の同事務所に学識者や県内の建設コンサルタント団体が集まり、現場からリアルタイムで配信された映像と音声を基に橋梁の健全性を判断し、専門家の立場から道路管理者に助言した。初回だったが、映像や音声に大きな乱れはなく、大儀会長は「診断に必要な現場の情報は十分に得られた」と、今後の本格展開に手応えを感じた様子だった。

現場から配信された映像と 音声で健全性を判断した

 自治体の橋梁点検・診断・補修を支援する目的で18年9月に立ち上げた「地域支援チーム」の診断支援ワーキングが、遠隔診断サポートを実施した。診断に迷う自治体をサポートする。
 初回は越生町の町道1-13号滝澤橋で実施した。橋長7.04m、幅員5.39mの小規模橋梁で、形式は上部工がRCT桁橋、下部工が逆T式橋台(推測)。1954年の建設だが、資料が十分に残っていないため、一部の情報は不明となっている。5年に1回の法定点検は町が18年度に直営で実施し、早期措置段階の判定IIIと診断した。
 大宮国道事務所と越生町の職員が現場へ行き、インターネットを使った無料電話サービスの「Skype」を用いて、同事務所の災害対策室に映像と音声を配信。診断支援ワーキングのメンバーや、埼玉大学研究機構レジリエント社会研究センター長・教授の睦好宏史埼玉橋梁メンテナンス研究会代表、同研究会に所属する埼玉県建設コンサルタント技術研修協会のメンバーが、現場とやりとりしながら、損傷具合を確認した。
 専門家は「橋軸方向の鉄筋にひび割れが入っているので、それがさびているかどうかを確認すべき」「映像を見る限り橋台はほとんど損傷していないので、このまま使っていいのではないか」などのアドバイスを送った。助言は参考意見で、最終的な対応方針は各道路管理者が決定する。
 支援を受けた越生町の担当者は「安全性を一番危惧していたが、すぐに危険というわけではないことが分かり、ほっとしている」と胸をなで下ろした。

大儀会長

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