【東日本大震災から8年】福島県・復興拠点整備 6町村で事業本格化 除去土壌輸送も大きく前進 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【東日本大震災から8年】福島県・復興拠点整備 6町村で事業本格化 除去土壌輸送も大きく前進

 東日本大震災の発生から11日で8年を迎える。東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い立ち入りが制限されている帰還困難区域では、「特定復興再生拠点区域」(復興拠点)の整備に向け、2018年に福島県富岡町、飯舘村、葛尾村の申請計画が認定され、申請した6町村すべてで事業が本格化している。一方、除去土壌などの中間貯蔵施設への輸送も道路インフラ整備の進捗に合わせて大きな前進をみせている。

中間貯蔵施設では除去土壌の貯蔵が進む (18年7月27日、大熊町第2期1工区)

 環境省が18年12月に公表した「2019年度の中間貯蔵施設事業の方針」では帰還困難区域を除き、21年度までに福島県内に仮置きされている除去土壌などのおおむね搬入完了を目指している。19年度の輸送予定量は18年度の180万m3の2倍強に当たる400万m3を予定。輸送対象物量1400万m3(帰還困難区域除く)の搬入完了に向けた動きが加速する。
 除去土壌などの輸送はこれまでに累計241万m3が完了している。輸送の段階的な拡大に向けては、中間貯蔵施設への輸送ルートに必要な個所の舗装厚改良や、常磐自動車道の(仮称)双葉、大熊両インターチェンジ(IC)から同施設までのアクセス強化などの対策が進んでいる。31日には大熊ICが開通し、中間貯蔵施設へのアクセスが大きく向上する。19年度には双葉ICも開通を見込んでいる。
 中間貯蔵施設への段階的な輸送拡大により、仮置き場の原状回復も前進する。環境省は18年度に仮置き場96カ所の原状回復完了を見込んでおり、19年度には240カ所程度の完了を目指す。
 18年には 復興拠点の整備に向けた動きも着々と前進した。双葉町では除染済みの駅西地区に続き、2月に駅東地区で解体・除染が着工。施設整備は双葉駅西側地区一団地の復興再生拠点市街地形成施設が3月に都市計画決定、7月に一部事業認可された。JR常磐線双葉駅は8月に着工した。
 大熊町では3月に下野上西地区で解体・除染に着手し、浪江町は5月に着工した津島地区の一部の除染が完了。津島・室原・末森の3地区の一部の解体・除染は8月に着工した。
 富岡町は7月に着工した夜ノ森駅周辺の除染が完了。拠点北地区の解体・除染には8月に着工した。飯舘村は9月に居住促進ゾーンなどの解体・除染に着手している。葛尾村では、11月に野行地区で解体・除染が着工した。
 長期間にわたる取り組みが必要となる原子力災害被災地域の復興などに対応するため、政府は8日、復興の基本方針の見直しを閣議決定した。
 20年度末で設置期限を迎える復興庁の後継組織について、その設置を初めて明記。担当相を置くことを想定し、今後、具体的なあり方の検討を進める。

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