【建築学会+フィンランドセンター】国際シンポジウム「内省する空間-アアルトの図書館と住宅」を開催 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【建築学会+フィンランドセンター】国際シンポジウム「内省する空間-アアルトの図書館と住宅」を開催

 20世紀を代表するフィンランドの建築家、アルヴァ・アアルトの生誕120周年を記念した国際シンポジウムと展覧会「内省する空間-アアルトの図書館と住宅」が、東京都港区の建築会館ホールと日本建築学会建築博物館ギャラリーで開かれた。日本建築学会とフィンランドセンターが主催した。

アアルトと日本との関わりを探ったセッション

 16日のシンポジウムでは、フィンランド最大規模の設計事務所、JKMMアーキテクツを共同主宰するテーム・クルケラ氏と、シーラカンスK&H共同主宰で東京都市大教授の堀場弘氏が基調講演。ともに自身の設計活動を説明しながらアアルトから受けた影響やその今日的な意義を語ったほか、アルヴァ・アアルト財団マネージング・ディレクターのトンミ・リンダ氏と、展覧会のキュレーションを担当した和田菜穂子東京アクセスポイント代表理事が建築史的な観点からアアルトの功績や日本との関わりを考察した。

クルケラ氏

堀場氏

 クルケラ氏は、アアルト生誕100年記念コンペを勝ち取ったセイナヨキ市立図書館の増築プロジェクトを紹介。「アアルトの設計で1960年代に建てられた6つの建築のすべてがつながりを持っている中に増築する大変難しい課題だった。アアルトから出発して徐々に新しいデザインが芽生えてくる。大きな塊から小さな要素へと分解していく。アアルトのフォルムを真似するのではなく、その背後にある原則を把握しようとした」と振り返った。

模型からアアルトの空間を多角的に読み込む

 さらにアアルトから学ぶこととして「細部まで注意することはとても重要なこと。家具や照明、フォントまですべてが意識的にデザインされることで建築がとても興味深いものになる」「張り子の虎ではなく本物の虎であること。机上の図面だけでなく、物理的にものをつくることを大事にしなければいけない。表面だけでなくものごとの真髄を見極める。シンプルなソリューションであること。ヒューマンタッチも非常に重要だ」と指摘。「人間がいないと建築は完成しない」とも語り、「人と建築が対話する」ことが重要であると語った。
 堀場氏は「やわらかい光に満ちた空間」を目指した『金沢海みらい図書館』の設計を通じてアアルト建築との共通項などを語った。
 4日から17日まで開かれた展覧会では、複数の大学研究室の学生らによって制作されたアアルトの代表的な建築の模型や映像などが展示され、連日多くの来場者でにぎわった。

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