【記者座談会】建設キャリアアップシステムの本格運用迫る | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

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【記者座談会】建設キャリアアップシステムの本格運用迫る

A いよいよ4月から建設キャリアアップシステムの本格運用が始まるね。企業側の動きはどうかな。
B 鹿島は既に少額工事を除く土木・建築の全現場にカードリーダーを設置した。竹中工務店も2019年内に全現場にカードリーダーを設置する。
A 事業者と技能者の登録が進んでいないのにカードリーダーを置く意味はあるのだろうか。
B 既に登録を済ませた技能者もいる。そうした人たちが現場に行った時にカードリーダーがなければ、結局、就労履歴が蓄積されないので、カードを家に置きっぱなしになったり、なくしてしまうかもしれない。登録する意味に疑問も感じるだろう。だから大手ゼネコンは、とにかくカードをタッチできる現場を増やす必要があると判断している。
C ただ、大手ゼネコンと地方の地場ゼネコンで、キャリアアップシステムに対する認識に大きな差があるのは事実だ。日本型枠工事業協会が実施したアンケートでも「地元ゼネコンにはシステムを理解しようとする姿勢もない」といった厳しい指摘があった。「キャリアアップシステムで最高評価の技能者を多く抱える協力会社を確保できないゼネコンは、公共工事の受注で不利になる」といったような、誰にでもメリットが理解できる将来的な姿をそろそろ示しても良いかもしれない。
A でもなぜ大手ゼネコンはキャリアアップシステムに積極的なのか。
B 大手ゼネコンは、現場の技能者が1人1日当たりどれくらいの仕事をするかという正確な歩掛かりを実は持っていない。今回のシステムを利用して、正確な歩掛かりを捕捉できれば、より正確な工程進捗の予測も可能だし、もっと一人ひとりの作業の効率を上げて生産性向上につなげられるかも知れない。現場のビッグデータを手に入れることで、生産性向上の可能性が広がると考えている建設企業は少なくないだろう。

鹿島が試験運用で設置したカードリーダー

延べ床面積、高さも拡大傾向

A 話は変わるけど、東京都心部では大型の開発事業が複数計画されている。
D 2019年度に着工を予定している大型再開発事業の1つが、港区の虎ノ門・麻布台地区の再開発だ。森ビルが主導する事業で、開発規模は総延べ約86万㎡と国内最大級。A街区とB街区の施工は、清水建設と三井住友建設が担当する。
E 延べ床面積の大きさもさることながら、もう1つトピックスがある。建物高さだ。清水建設が施工するA街区の施設は高さ325mで、完成時点で日本一高い超高層ビルとなる。いま、日本で最も高い超高層ビルは、大阪市にある「あべのハルカス」で約300m。大阪のシンボルを超えることになる。
D しかし、虎ノ門・麻布台もいずれ追い越される。三菱地所が千代田区・中央区で開発中の「東京駅前常盤橋プロジェクト」では、高さ390mのビルを建設する予定だ。
A いまのところ、常盤橋の高さを超える超高層プロジェクトは把握できていない。もちろん水面下では、さまざまな計画や検討はあるかもしれないが。
D 新宿でも大型のプロジェクトが計画中だ。新宿区は、西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発準備組合の再開発事業を都市計画決定した。4棟総延べ約39万㎡の大型事業だ。65階建て高さ約235mと、国内分譲マンションでは最高層・最高階数となるツインタワーを建設する。
A 大型開発が東京の魅力、ひいては日本の国際競争力の向上に貢献してほしいものだ。

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