【記者座談会】新時代の幕開け/平成最後の入社式 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【記者座談会】新時代の幕開け/平成最後の入社式

A 平成に代わる元号「令和」公表に続き、新紙幣も発表され一時代の終わりと新時代の幕開けを意識せざるを得ない状況にあるが、2019年度は建設業にとってもさまざまな環境変化にさらされる節目の1年になりそうだ。
B 4月からは建設キャリアアップシステム、特定技能外国人の受け入れ、改正労働基準法の施行など、建設産業界を取り巻く新たな枠組みが一斉に動き出した。働き方改革で建設業界をけん引してきた日本建設業連合会は、19年度の2大事業として引き続き週休2日の実現と建設キャリアアップシステムの普及を位置付けている。3月の理事会後会見で日建連の山内隆司会長は、建設キャリアアップシステムの普及に向けてスタートダッシュするために、「各理事に建設業の範を示すために率先した取り組みを要請した」と述べ、先頭に立った活動を継続して展開する構えを見せた。
C 建設キャリアアップシステムについては都道府県建設業協会や全国建設労働組合総連合の支部などで窓口設置が進んでいる。一方で地域建設業や中小建設業からは、導入コストに見合ったメリットが見いだせないなど、消極的な声も上がっている。
D システムの運営主体である建設業振興基金は、18年度の概算登録数を含めた初年度目標として、技能者登録100万人、事業者登録13万社を目標に掲げているが、登録に要する手続きの煩雑さが、申請の段階で発生する不備率の高さにつながっていることから、審査基準の見直しなどを検討することにしている。スタートダッシュの実現に向けては官民一体となった一層の取り組みが求められそうだ。

3、4日に開かれた東京建設業協会と東京土木施工管理技士会主催の建設業新入社員研修会。61社から約290人が参加し、真剣なまなざしで講義などに耳を傾けていた

◆訓示に表れた人の和とチャレンジ精神

A 話は変わるけど、平成最後の入社式で各社トップのメッセージに何か傾向のようなものは見られたのかな。
E 新元号の発表と重なったこともあり、新時代の担い手として、コミュニケーションや人の和を強調した訓示、技術革新の中で新たな時代を切り開くためのチャレンジに期待を込めるとしたメッセージが印象に残った。
F 生産性向上や働き方改革に向けて、ICTやAI(人工知能)が建設生産プロセスを大きく変えようとしている中、柔軟な発想と新しい目線を若い世代に求めるトップも少なくない。
G 工事を円滑に進めるためには、発注者や協力業者などとの多岐にわたるコミュニケーションが欠かせない。1人の力だけで現場は回らない。建設業はまさにコミュニケーション産業といっても過言ではない。チャレンジ精神も必要だが、チームワークとのバランスが重要だ。
E 時代の移り変わりととともに、新入社員の意識も大きく変わりつつある。厚生労働省がまとめた新卒者離職状況によると、15年3月に卒業して建設業に就職した若者の3年以内平均離職率は前年比1.2ポイント下がったものの、37.7%を占めている。大卒者は4年ぶりに3割を下回ったが、高卒者は46.7%と高い数値を示している。仕事よりプライベート重視型の新入社員が増えているという調査結果もある。
A 建設産業界では働き方改革の取り組みにより一層力が入るが、給与が良く、休日が取れ、希望が持てる「新3K」の実現には、まだほど遠い状況だ。新入社員に期待するだけでなく、企業や業界にも、建設業の魅力向上に向けた実行力とさらなる意識改革が求められているね。

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