【在阪建築4団体】ARCHI-4 KANSAI提言書 関西の強みを生かした都市機能の再構築を訴える | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【在阪建築4団体】ARCHI-4 KANSAI提言書 関西の強みを生かした都市機能の再構築を訴える

 大阪に拠点を構える建築4団体(大阪府建築士会、大阪府建築士事務所協会、日本建築家協会近畿支部、日本建築協会)は、人間・空間・時間をつなぐ未来のまちづくりを訴える『ARCHI-4 KANSAI提言書』をまとめた。万国博覧会の開催を控えた関西エリアにおいて、歴史、文化など関西の強みを生かした都市機能の再構築に建築家が主体となって参画する方策を盛り込んでいる。

提言書

 提言書では6つの項目「人とひとをつなぐ」「まちと街をつなぐ」「過去から未来へ時をつなぐ」「暮らしと文化をつなぐ」「未来へ空間をつなぐ」「安全と安心をつなぐ」にそれぞれ4つのトピックを盛り込み、まちづくりのあるべき姿を示している。
 「人とひとをつなぐ」では、ダイバーシティーの実現や地域コミュニティーの育成など、エリアアーキテクトとしての地域と建築家の関わりの重要性を説いている。
 「まちと街をつなぐ」では、水辺空間を生かした魅力の創造や鉄道ネットワークを生かした移動利便性・回遊性の向上、鉄道駅周辺のにぎわい創出、「過去から未来へ時をつなぐ」では、木材を積極的に活用した住空間の創造やSDGs(持続可能な開発目標)の推進による緑化と再生可能エネルギーの利用拡大に向けた方策をまとめている。
 「暮らしと文化をつなぐ」では、万国博による来訪者の増加を一過性のものにしないため、建築家がヘリテージマネジャーなどとして関わり、関西が持つ文化的・歴史的ポテンシャルを発揮する仕組みを盛り込んでいる。
 「未来へ空間をつなぐ」では、万国博をきっかけにした未来社会の創造や効果的な土地利用、規制緩和など、「安全と安心をつなぐ」では、関西に適したコンパクトシティーの実現やシュリンキングポリシー(創造的縮合政策)の導入、災害に強い地域コミュニティーづくりなどを訴えている。
 提言の作成には、4団体から若手会員が4人ずつ参加した。
 検討会の委員長を務めた徳岡浩二大阪府建築士会理事は11日に大阪市内で開いた会見で「2025年に開催される万国博ではパビリオンの設計だけでなく、開催をきっかけとしたまちづくりにおいて、われわれ建築家の職能が生かせると考え、この提言をまとめた。今後は内容を広く発信し、行政や市民を巻き込んでいきたい」と話した。
 会見には4団体の代表も出席した。
 岡本森廣大阪府建築士会会長は「東京でもオリンピックに向け日本建築家協会(JIA)が提言をまとめていたが、それに負けない、関西ならではのものができたのではないか」と提言書を評価。井上久実JIA近畿支部長も「4団体が共同でつくったことで、多様性が生まれた。都市が抱える課題の多くが建築によって解決できることを再認識できる内容になっている」と述べた。
 また、戸田和孝大阪府建築士事務所協会会長は「つくって終わりではなく、年に一度、実現度を検証する必要があるだろう」、設楽貞樹日本建築協会会長も「これからこの提言をどう生かすか、いかに実現させるか、重大な使命だ」と気を引き締めた。
 6月4日には大阪市の竹中工務店いちょうホールで提言の内容を伝える第1回シンポジウムを開く。徳岡理事は「1回目のシンポは会員向けの周知の場になるが、2回目以降は有識者をパネラーに招き、市民向けのイベントにしたい」と話している。

徳岡氏

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