【ソネック・人材育成制度】独自の取り組みで 建設業目指す若者を支援、ベトナム人の雇用を継続 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【ソネック・人材育成制度】独自の取り組みで 建設業目指す若者を支援、ベトナム人の雇用を継続

 大手地場ゼネコンのソネック(兵庫県高砂市)は、社是に『人と和』を掲げ、人材育成に注力している。その内容は単なる社員教育にとどまらず、2018年度から「志・建設技術人材育成財団」を通じた大学生への奨学金制度を展開するとともに、ベトナム人若手技術者の雇用を継続するなど、独自の取り組みを進めてきた。福島孝一社長と、先代社長の渡辺健一取締役相談役に取り組みの現状と今後の展開などを聞いた。

福島社長(左)と渡辺取締役相談役

 制度は、兵庫県内出身者や県内での活躍を目指す建築系、土木系学部で学ぶ大学生を対象に、毎年50万円を卒業まで支給し続けるもの。各学年の定員は5人までとするため、ゆくゆくは年間20人ずつに給付することになる。
 奨学金は返済する必要がなく、諸般の事情などで卒業後に建設業に就かなくなった場合でも返済は求めない。
 毎年4月から各大学への募集を開始しており、応募書類の審査と面接で選考する。18年度は3人への給付を決定しており、5月末で受け付けを終えた19年度分は定員を超える応募があったという。
 学生には年に1回、現状(学業)を報告してもらうほか、今後はセミナーなどの教育も行い、「社会に貢献できる人材を育てたいと思っており、そのためのカリキュラムも考えていきたい」とのことだ。
 また、同財団は渡辺取締役相談役が保有する自社株式を財団に譲渡し、この配当益とソネックが提供する資金で運営するが、趣旨への賛同者からの寄付も受け付けており、その数は順調に増えてきている。
 制度を考案したのは渡辺取締役相談役。「建設業の就業者が減っており、いずれ業界を担う人がいなくなってしまう」と危機感を持ち、「高い志をもつ若者を応援し、世の中の役に立ちたい」と説明する。
 その後、制度を周知するため、渡辺取締役相談役は県内の高校約60校を訪問したが、「建設業に進みたいという生徒は本当に少なかった」と改めて実感しており、「みんなで一緒に汗を流し、モノをつくる喜びを感じられる人を増やしたい」という。
 奨学金や財団への寄付についての問い合わせは同社内の財団まで(電話079-447-1551)。
 建設業界では新たな在留資格「特定技能」の建設分野における外国人材受け入れが注目されているが、ソネックはベトナム・ハノイに駐在員事務所を設置しており、17年から毎年、ベトナム人の若手技術者を5人程度採用している。
 採用する若手技術者は駐在員事務所での面接などで選考し、日本ではまず5カ月間研修させる。そこで日本語などしっかり学んだ後、実際の業務を経験していく。
 同社の受け入れでは「技術・人文知識・国際業務」を在留資格としているのが大きな特徴で、更新し続ければずっと日本で働くことができるため、ベトナム人の向上心が強く、成長も早い。
 福島社長は「ハングリー精神にあふれるベトナム人とともに仕事をすることで、日本人の社員にも負けられないという気持ちが生まれている。今後も継続していきたい」とその意義を語る。
 また、「17年に採用した技術者はみんな現場に出て、もう施工図を書いて指示できるまでになった」とその成長に目を細める。
 2級の施工管理技士も受験しており、「ことしこそは合格してくれるのでは」と期待を寄せるとともに、「ゆくゆくは新人技術者の指導や、駐在員事務所の所長などになってくれれば」とその成長を楽しみにしている。

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