【新たな担い手】2級建築施工管理技士合格者も ソネックがベトナム人技術者を継続採用 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【新たな担い手】2級建築施工管理技士合格者も ソネックがベトナム人技術者を継続採用

 人手不足を背景として、建設業では在留資格「特定技能」の外国人材受け入れが注目されている中、ソネック(兵庫県高砂市)ではかねてから「技術・人文知識・国際業務」を在留資格とする長期的な視点でのベトナム人の受け入れ・教育を行っている。毎年数人ずつ採用してきたベトナム人技術者は12人に達しており、このうちチン・ゴック・トゥアンさんが2級の建築施工管理技士に合格。先進的でありながらも地道な活動が確かな成果を上げつつある。

 ベトナム人の採用は2016年からスタートし、毎年数人ずつ採用を続けている。現在は16年採用の5人、17年の2人、18年の2人、19年の3人と、計12人が同社で活躍している。
 今回、資格取得したトゥアンさんは初年度採用組。ベトナムの大学を卒業して現地企業で働いていたが、自分が通う現場の近くに日本企業の整然とした現場があり、かねてから日本に興味を持っていた。そして、ソネックの求人を聞きつけ、現地で行われた面接をクリアして4年前に来日した。

 近年の採用者については、あらかじめ日本語能力試験N3相当まで語学力を高めておくよう求めているが、初年度の採用者はほとんど日本語が話せない状態のまま日本にやって来ており、かたやソネックもベトナム人の受け入れは初めて。それからの4年間は互いに手探りで進んできた。

 まずは日本での資格取得を目標として掲げたが、日本人でも苦労する試験特有の「引っかけ問題」に対応するには技術から言葉まで幅広い知識を身に着けねばならない。昼間に働くだけではなく、自ら夜や休日も勉強するなど地道な努力を積み重ね、ようやく2級合格までたどり着いた。

 ベトナム人の受け入れも4年目となり、ソネックの教育カリキュラムも固まってきている。毎年1-2月に来日させ、そこから4月までは語学を中心に研修する。日本人の社員が入ってくる4月になると、彼らは現場に出向いて仕事の流れを覚えるステップに進み、5月ごろに改めて配属される現場が決定する。
 この後は月に2回本社で技術の指導を受け、一定期間が過ぎれば月1回のフォローアップ研修を受けるほか、検定などの試験前には自主的に勉強会なども開いている。

 技術面の指導を担当するソネック建築部の川平省三課長代理らは「もちろん個人差はあるが、ベトナムの技術者はみんな真面目で、とても向上心が高い」と口をそろえる。また、日本での生活全般を指導する経営管理部の西尾記佳顧問は「彼らを教えることで、こちらも学べることがある。彼らの努力する姿は他の日本人社員にも刺激になっている」と語る。
 2級の資格合格者が誕生したことで、1つの道筋ができ、これから同期や後輩が後に続く。トゥアンさんは「次はできるだけ早く1級を取得したい」と意気込んでおり、ことしから試験に挑戦する予定だ。

 同社は最終的にベトナム人技術者を30人程度まで増やしていく考えで、これからも毎年後輩たちが入社してくる。彼らには「できる限りサポートするので、辛くてもやめずに続けてほしい」とエールを送るとともに、「彼らの手本になれるよう今後も努力していく」と決意を示す。

 これまでを振り返り、「日本に来て何も分からない状態だったが、一から指導してもらい本当に感謝している。この恩をソネックに返し、いつかはベトナムの建設業界の発展にも貢献したい」と語るトゥアンさんには、古き良き日本人の魂も根付いているように見えた。

トゥアンさん(左)と川平さん

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