【津門川地下貯留管整備 シールド掘削進む】兵庫県 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【津門川地下貯留管整備 シールド掘削進む】兵庫県

◆施工=大豊JV 

兵庫県が治水安全度向上を目指して整備を進めている「二級河川東川水系津門川地下貯留管整備事業」のシールド工事が着々と進行している。施工は大豊建設・ソネック・田村組JVが担当。20日には地域住民に向けた現場見学会を実施し、64人が貯留管内を見学した。

津門川地下貯留管内部

 津門川は西宮市中央部を南北に貫く長さ約3.5㎞の2級河川。周辺には阪急神戸線西宮北口駅をはじめ、JR神戸線、国道2号など重要交通網が位置している。1999年や2013年の豪雨災害では上流部で多数の床上浸水被害が発生するなど、治水機能の強化が求められている。こうした状況を受け、同事業で内径4.9m、延長約1.7㎞、貯留能力約3万4000m3の地下貯留管を整備し、浸水被害の軽減を図る。

 工事ではこの地下貯留管を整備するとともに、放流立て坑工(深さ41m、内径13m)、津門川から貯留管への流入施設工を行う。

 西宮市は日本有数の酒所で、酒造りに使う地下水「宮水」が地下2-6mを流れている。そのため工事では宮水への影響を最小限に抑えられるよう、貯留管を宮水層から最大16m以上離隔した深度に設置する。津門川直下での施工のため、玉石などが出土した際に追加で立て坑を整備することが難しい。
 そこで大豊建設はカッタービットを強化し、大きな玉石にも対応できるスクリューコンベヤーを備えたシールドマシンを導入している。

 21年7月に発進立て坑の整備に着手し、23年1月にシールドマシンによる掘削を開始した。現在は400mほど掘り進めており、24年2月までに掘削完了する見込み。同年12月までに防音ハウスの撤去などを終え、その後はポンプ設備や排気・換気設備工事などを進める。現在の進捗(しんちょく)率は40%。工期は25年9月末まで。

シールドマシン


 県は、将来的に地下貯留管を大阪湾まで延伸し、総延長約3.8㎞の地下河川として運用することを計画している。
 大豊建設の三野章生所長は「工事車両の出入りが多く通行規制も実施しており、住民の方にはご不便をおかけしている。見学会の開催などを通じて、工事の意義をご理解いただけるよう努める」と話した。



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