兵庫県が阪神淡路大震災の復興開発事業として神戸市の新長田駅南地区で整備を進めていた新長田キャンパスプラザが完成した。11月30日に現地で完成式典と内覧会が開かれた。設計は内藤建築事務所、施工は大豊建設・神鋼興産建設・益田工務店JVが担当した。
テープカットに続き、斎藤元彦知事は「県では、市などと連携してこれまで新長田合同庁舎の整備などに取り組んできたが、にぎわいづくりが課題となっていた。プラザの完成により、新長田の昼間人口の回復に寄与すると期待している」とあいさつした。その後、久元喜造神戸市長らがそれぞれ祝辞を述べた。
同プラザは、県立総合衛生学院の校舎老朽化に伴い、さまざまな教育機関が集う教育複合ビルとして移転・新設した。規模はS造9階建て延べ1万2519㎡。事業費は約64億円。1階から4階まで同学院が入居し、本校の学科と分校の介護福祉科を集約した。5階には兵庫県立大学が入り、神戸市西部における起業支援・リカレント学習拠点として活用する。6階から8階までは兵庫教育大学が入居。9階には大講堂を配置した。2025年4月の開校後は、約1000人の生徒や教員が同校に集う。
同プラザの完成により、1995年3月から神戸市が進めていた「新長田駅南地区震災復興第二種市街地再開発事業」が完了したことから、同日に同市主催の完了式典が鉄人広場で開催された。
あいさつに立った久元市長は「事業は一区切りとなったが、新長田のまちづくりが終わったわけではない。今後も西市民病院の移転を進めるなど、魅力あるまちづくりに努めていきたい」と述べた。
来賓出席した斎藤知事は「30年に及ぶ再開発事業をハード・ソフトの両面で進めてこれたのも、多くの関係者の努力によるもの。震災の教訓を次世代につないでいきたい」、長谷川朋弘近畿地方整備局長は「来年で震災から30年の節目を迎える。教訓を生かし、災害に強いまちづくりに取り組みたい」と祝辞を寄せた。
同事業は、対象面積19.9ha、事業費約2277億円。市街地の復興と防災公園などを中心とした防災拠点の構築、良質な住宅の供給、地域の活性化や都心拠点にふさわしい都市機能の整備を進めてきた。
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