【大林組】天井制振構法で天井と空調機の両方の耐震性向上を実現 耐震天井よりコスト約3割減 | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【大林組】天井制振構法で天井と空調機の両方の耐震性向上を実現 耐震天井よりコスト約3割減

 大林組は、天井と空調機の両方の耐震性向上を実現する天井制振構法「ロータリーダンパー天井制振システム」を開発した。耐震天井と比較してコストを約3割削減できる。日本建築総合試験所から建築技術性能証明を取得した。天井制振技術の建築技術性能証明は、「日本初」としている。

システム構成

 国土交通省は、東日本大震災の際に、天井と天井埋め込み型の空調機が衝突する被害が発生したことを踏まえ「特定天井及び特定天井の構造耐力上安全な構造方法を定める告示」(天井告示)を公布した。あわせて、日本建築センターが建築設備耐震設計・施工指針を改定発行した。天井告示では、耐震性の高い接合金物を天井裏全面に配置することや天井ブレースを多数配置することを義務化した。その結果、天井裏に設計・施工上の制約が多くなり、施工コストが大幅に増加した。天井と空調機の耐震性を別々に向上させても、衝突は回避されないことが課題となっている。
 天井と空調機の衝突は、重さや硬さの違いによって揺れ方が違うために起こる。ロータリーダンパー天井制振システムは、ブレースのない天井と山形鋼で補強した空調機をダンパーで接続することで、地震時の揺れを吸収し、衝突を回避する。天井の揺れも抑制でき、天井周辺の壁などへの衝突も回避できる。ダンパーが揺れを吸収するため、耐震天井で使う天井ブレースを配置する必要がない。
 ブレースがないため、天井裏の機器類・配管・ラックなどの配置の自由度が高まるほか、ダンパーが揺れを吸収することで、ダンパー周辺以外の天井用接続金物に耐震性の高い金物を使用する必要がなくなる。これらによって、耐震天井と比べてコストを約30%削減できる。

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