【記者座談会】全国安全週間を控え各社が安全大会/建築学会、土木学会の会長交代 | 建設通信新聞Digital

5月8日 水曜日

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【記者座談会】全国安全週間を控え各社が安全大会/建築学会、土木学会の会長交代

A ことしも7月1日から全国安全週間が始まるね。
B 92回目を数える2019年度のスローガンは『新たな時代に PDCA みんなで築こう ゼロ災職場』だ。
A 準備月間である6月は、ゼネコンや設備会社が安全大会を開き、われわれ記者も取材に行ったが、ゼネコンのトップはどのようなことを呼び掛けたのだろう。
C ヒューマンエラー、不安全行動の防止といった基本の徹底やコミュニケーションの重視を求める声が目立った。コミュニケーションの重視では、一声掛け運動やあいさつ運動の励行など、お互いに声を掛け合い、意思疎通を図ることが災害防止につながると訴えるトップが多かった。
B 工事現場では、多くの作業員が働いている。気が付いたことがあれば、遠慮せずにすぐに声を掛ける習慣が徹底されれば、労働災害防止だけでなく、明るく働きやすい職場環境につながると思う。
A 設備会社の安全大会はどうだったかな。
C 取材してみると、年内はかつてない繁忙になっているとし、経営者が「労働災害の発生リスクが高い状況にある」との危機意識を強く持っていることが分かる。ただ、墜落・転落などの繰り返し災害が相変わらず多いことも事実で、慣れからくる危険意識の低下が災害要因の1つになっているといえるだろう。
B 施工品質の確保と現場の生産性向上はもちろんだが、現場の安全確保は施工を進める上での前提であり責務だ。危険意識の低下を防ぐことにとどまらず、危険への感度をより高めるための活動を続けることの重要性を改めて感じた。

中央労働基準監督署など6機関・団体の中央安全推進大会では、自発的な取り組みの重要性を訴えた

「バランスの取れた」運営、体制を強調

A 話は変わるけど、日本建築学会と土木学会の会長が交代したね。
D 日本建築学会は竹脇出京大大学院工学研究科建築学専攻教授が第56代会長に就いた。建築構造力学が専門だからというわけではないだろうけど、正副会長会見では「バランスの取れた」運営や体制の必要性を繰り返し強調していたのが印象的だった。
E 若手教育の充実を重視する姿勢も鮮明にした。もともと芸術分野では年齢や経験、実績を積まないとなかなか評価されない側面があるとして、監事時代に新しい評価制度の導入を提起し、それが「作品選集新人賞」の創設につながっているからね。各部門の運営委員会に、40歳未満の会員の積極的な参加を促しているのも、若い人材を前に押し出すことが学会の持続的な発展につながるという確信があるからだ。
D レジリエント建築を含め会長タスクフォースでの議論にも注目したい。
A 土木学会の第107代会長に林康雄鉄建建設代表取締役会長が就任したね。“林体制”下での重点取り組みは。
F 就任後の会見で林会長は、防災・減災、老朽インフラのメンテナンス、働き方改革、生産性向上への対応などを重点課題に挙げていた。老朽インフラのメンテナンスに対しては、会長特別委員会の設置も視野に具体的な検討を進める考えを示した。世界でも屈指の日本の鉄道関連技術やメンテナンス手法を切り口に、具体的な対応策を提示していく方針だ。
G 14年5月に策定した学会の5カ年計画「JSCE2015」の改定作業も進める。働き方改革、海外インフラ輸出、頻発する自然災害など、土木界を取り巻く環境が大きく変化する中で次の一手をどう打ち出すか。会見で打ち出していた「課題解決型を一歩進めた価値創造型の取り組み」に注目したい。

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