【記者座談会】G20大阪サミットの交通規制/国交省の局長級2ポスト新設 | 建設通信新聞Digital

4月21日 日曜日

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【記者座談会】G20大阪サミットの交通規制/国交省の局長級2ポスト新設

A 6月28、29の両日に大阪市の人工島・咲洲で開催した20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)では、大規模な交通規制による社会・経済活動への影響が懸念されたが、無事に終わったようだね。
B 事前に交通総量50%削減という目標を掲げてマイカーの利用自粛を要請し、大阪市内では前後を含む4日間にわたって阪神高速道路の封鎖、各国首脳が宿泊するホテル周辺の一般道の通行規制などを行った。この規制に伴う迂回路の大渋滞が懸念されたものの、期間中の市内の幹線道路などはむしろ道が空いていた印象で、大阪府警が50%削減の目標を達成できたと発表しているように目立った渋滞なども発生しなかった。事前の周知と対策が効を奏した格好だ。
C 建設業界では特に現場で資機材の搬出入や作業員の出勤が制限されることが予想されたため、ゼネコン各社は数カ月前から情報収集と対応策の検討を進めてきた。事前に生コンや鉄筋、鋼材などの出荷停止が伝えられ、公共工事では発注者からの協力要請などもあり、多くのゼネコンの母店では市内の現場は4日間閉所、資機材搬出入の前倒し、作業内容の変更といった方針を立てていた。工期との兼ね合いなどもあるため、最終的には各現場の判断に委ねられていたが、現場でも特に混乱などはなかったようだ。
A 業界ではサミット対応を2020年東京五輪・パラリンピック対応の“前哨戦”と見る向きもあったけど。
B 五輪とは期間も規模も大きく異なる。今回は土曜、日曜日を含む4日間ということで、ゼネコンは休工や搬出入日の振り替えという対応ができたし、発注者に工期延長やコストアップを求めるような話にもならなかった。期間が1カ月程度となる五輪では同じようにはいかない。今回の経験は、交通対策の面では参考になると思うが、建設業界にとって五輪対応に生かせるものではなかったんじゃないかな。

G20大阪サミットの会場となった大阪国際見本市会場「インテックス大阪」。開催中は厳戒態勢を敷いた

インフラ輸出、全都道府県でMaaS推進

A 話しは変わるけど、国土交通省が1日付で、海外プロジェクト審議官と公共交通・物流政策審議官の2つの局長級ポストを官房に新設した。その狙いは。
D 政府は、海外からのインフラシステム受注を20年に約30兆円とする目標を掲げている。実現に向け、オールジャパン体制でインフラの海外展開を進める海外インフラ展開法を法制化した。海外プロジェクト審議官はその司令塔となる。まずは日本の公的機関をまとめ、海外インフラ事業への日本企業の参入を促進する体制整備を進める。
E これまで国交省の国際関係事務は、局長級の国際統括官が全般的に担当していた。ここから海外インフラ分野の業務を切り離して専任のポストを新設したことで、日本の質の高いインフラシステムの輸出を強力に推進する姿勢を対外的に示したことになる。初代の平井秀輝氏の手腕に注目が集まる。
A 公共交通・物流政策審議官はどうなのかな。
E 国交省は、海外で始まったモビリティー(移動性)に関する新たなサービス「MaaS(モビリティーのサービス化)」を23年度までに全都道府県で実現する方針だ。物流も人手不足を背景に、ドローンの活用やトラックの後続車無人隊列走行を目指すなどの動きがある。公共交通と物流の施策は重なる部分が多く、新設ポストの下で取り組みを一体的に進めるのが狙いだ。
D 初代の瓦林康人氏は、航空局や鉄道局、観光庁などを担当してきた。これまでの経験やノウハウを生かした施策に期待したいね。

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