【ポイントゼロ】会員型コワーキングスペースを開業 未来のオフィス要素抽出で連携 | 建設通信新聞Digital

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【ポイントゼロ】会員型コワーキングスペースを開業 未来のオフィス要素抽出で連携

 いまより健康的に楽しく働けて、創造性や効率性を高める「未来のオフィス空間」はどんな姿だろうか。それを探求するためのデータ収集・実証実験を行う会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi」(ポイント ゼロ マルノウチ)が、7月16日に東京都千代田区で開業した。同施設の運営会社「point0」(ポイントゼロ)の石原隆広代表取締役に、目標や探求の方法について聞いた。

石原代表取締役

◆利用者の働き方から創造性など検証/空間改善の新サービス20件目標
 「point 0 marunouchi」は、約120人分の個室と約130人分の自由席があり、利用ユーザーの登録者は600-800人を見込む。運営会社「point0」の目標について「まずは、オフィス空間を改善する新サービスを20件以上、2022年3月までに事業化のめどを立てる」とした。
 同社はオカムラ、ダイキン工業、ライオン、MyCity、TOTO、パナソニックの6社共同出資で19年2月に設立された。事業分野の異なる会社が、同社を介して共同すると「光・音・温度・湿度・匂い・飲食物など、いろいろな分野のサービスを組み合わせて、どのくらい空間の価値が上がるのか調査・検討できる」(同)メリットがある。その調査を行う場所として「point 0 marunouchi」を設置し、従来の個社で行っていた研究では難しい「サービスを組み合わせた際の検証」を可能とした。

point 0 marunouchiの内観。さまざまなサービスを組み合わせた際の検証が可能に

 具体的な調査方法は、オフィス空間の利用者が特に意識しない間に計測できる方法と、利用者の任意の協力によって計測する方法を併用する。前者の例には、室温・湿度・空気中のCO2濃度など空間に関わるデータや、利用者が施設内で自由に移動する際の人の流れ、いすやベッドに取り付けたセンサーなどで測る体重移動や心拍数などがあてはまる。後者はウェアラブル端末で測る脳波などだ。

仮眠室

 「データを測定するときに、利用者の方が測定機器を意識してしまうと、測定結果になんらかの影響が出てしまうおそれがある」(同)との見方から、利用者が意識せずに計測できる前者の調査を主に推進するとした。
 調査の中でも、利用者の移動は重要な部分を占める。「point 0 marunouchiの中には、利用者同士で会話しやすいカフェタイプのエリアや集中しやすい個室空間、高さのさまざまなデスクやチェア、仮眠室、シャワールーム、木漏れ日をイメージした景観や窓から東京駅を望むシチュエーションなど、いろいろな環境を設置した。各利用者に好みや時間帯、仕事の内容など働き方に応じて選択してもらう。働き方と空間のデータを関連づけ、人が自然と使いたくなる居心地の良いオフィス空間の要素を抽出する」狙いがある。
 労働者の効率性・創造性は定量的な評価が難しいが、それらについても、利用者の動線と多様なオフィス環境をかぎとして「例えば、居心地の良い空間では情報処理能力が上がり、さまざまな人といろいろな会話・活動をともにする環境であれば創造性が上がる」などの仮定を立て、効率性・創造性を高めるオフィス空間の条件とはどんなものか検証していく。
 「point0」では、実証実験で集めたデータを共有できる形に整理する。そのデータから新サービスを開発・事業化する段階については、同社のコミッティー(委員会)に参加した各社(前記の6社、ソフトバンクなど)がそれぞれ進める。データ収集と新サービス開発については区分がなされている。
 今後、コミッティーに参加する会社を新しく増やす可能性については「社会をよりよくするというビジョンを共有できるか、連携することで何ができるかをもとに、既に参加している会社からの推薦を経て検討する」とした。

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