【point 0・オフィス】未来のオフィス空間づくり・実証実験の成果報告 サービス効果の可視化が課題 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【point 0・オフィス】未来のオフィス空間づくり・実証実験の成果報告 サービス効果の可視化が課題

 未来のオフィス空間づくりに向けたデータ収集・実証実験を目的に、現在15社が運営に参画するコワーキングスペース「point 0 marunouchi」(東京都千代田区)で、昨年7月の開設以来の成果などを発表するイベント「point0 ignite 2020」が3、4の両日に開かれた。
 同施設の運営会社point0の石原隆広代表取締役は、運営に参画した企業から「複数の異業種企業で協力しているためか、多様な意見がスピード感を持って返ってくる」「サービスの効果検証コスト(金銭・人的・リスクなど)が小さい」などのメリットが挙げられた、と成果を紹介した。同施設は「国内コワーキングスペース初のWELL認証について、20年上期には予備認証・本認証を取得できる予定」(石原氏)として、さらなる質的向上を図る。
 一方で「未来のオフィス空間づくり」のための新サービス開発・普及面では、課題も明らかになっている。
 課題の1つが、サービス効果の可視化である。同施設で提供中か提供予定のサービスには、アート作品の設置(丹青社)、インテリアの色・素材感・仕上げ(オカムラ)、環境音(TOA)、香り(ライオン)、室内空気の温度や組成(ダイキン工業)など、さまざまな切り口がある。その中には、オフィス空間利用者の作業効率や快適性をどの程度向上させるのか、定量的に説明できるセンシング方法や指標が未確立の部分が含まれている。オフィスのオーナーにサービス導入を説得したり、導入後に効果的な改善案を提案するため、センシング方法・指標についても、同施設での実証実験を引き続き進める姿勢を示した。
 そのほか、オフィス利用者が快適さに慣れた後の長期的な効果測定や、ABW(アクティブ・ベースト・ワーキング。作業者が働きやすい環境を積極的に選べるオフィス構造を実現し、モチベーションや創造性の向上を狙う)を取り入れることから、レイアウト変更やインテリア入れ替えなどがしやすい可変性の高いオフィス構造の必要性が課題として指摘された。
 これらの課題を解決した先の目標の1つに、サービスを組み合わせた総合的なオフィス提案がある。一例としてトークセッションでは「建物のオーナー向けに、WELL認証取得支援をパッケージ化したサービスを検討している」(奥川太志テクノロジー・イノベーションセンター協創プロジェクト)との構想が挙がった。
 
 
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