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【column BIM IDEATHON(14)】情報システムとしてのBIM(1)-BIMデータのマネジメント-

最終更新 | 2019/08/20 14:32

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 前3回はBIMを取り巻くデータ環境や記述の体系整備に関する現状に触れ、プロジェクトに関わる多様な立場の利用者間でデータの流通性を高めていくための課題について言及した。今回は実務の現場でBIMを活用する視点からの分析を加えたい。

◆BIM=構造化された建築情報
 設計・生産の現場におけるCADの普及は説明に及ばないが、BIMとCADの違いについてはいまだその理解が国内で浸透しているとは言い難い。端的には3次元形状のオブジェクトにさまざまな属性情報を加えたものがBIMであるが、この特徴はそれぞれのソフトウェアの操作コマンドを比較すると分かりやすい。右図は代表的なソフトウェアから操作コマンドを抽出したダイヤグラムになる。
 CADは「線分」「円弧」「文字」のような図面の要素によって構成されるのに対し、BIMは「壁」「窓」「部屋」のような建築の要素によって構成されるのがお分かりいただけると思う。CADに関しては2Dと3Dで役割の違いは存在するが、いずれも形状やテキストを自由に組み合わせて情報を記述するものである。一方でBIMは建築を構成する空間や部位が明確に定義されており、この特徴は構造化された建築情報とも言い換えることができるだろう。

◆「プロセス」と「データ」のマネジメント
 建築情報の構造化により、例えばCADにおいて生じがちな図面間の不整合や、意匠・構造・設備の干渉を防ぐ事はBIMの明白な利点である。ところが国内においては、「入力情報の融通が効かず設計の初期段階では扱いにくい」や、「設計の終盤段階や施工段階においてはBIMデータが大容量になり操作性に難がある」といった声がしばしば聞かれるのが現実である。こうした課題を解消するためには設計・生産のワークフローを「プロセス」(=関係者個々の意思決定やその総体としてのプロジェクト体制)の側面と「データ」(=技術知識が反映された建築情報や、そのデジタルフォーマット)の側面から捉えつつ、協調的にマネジメントする視点が不可欠である(連載の第10回でもその一端に言及した)。
 「プロセス」と「データ」の組み合わせを適切に対応させることで、「設計の初期段階においては意思決定の内容に照らし合わせ入力詳細度を抽象化する」や、「大容量のBIMデータにおいては、操作性や作業分担と照らし合わせて、切り分けと統合のルールを設定する」といった工夫が生まれ、BIMが本来持つ利点の、柔軟な活用が可能になる。

◆複眼的なアプローチの重要性
 「プロセス」や「データ」のマネジメントに関しては20世紀後半から言及されており、情報システムのモデリングなどにおいて議論が深められた。もともとは建築分野の考え方が参照された経緯もあるものの、ハードウェアの性能が向上し、プログラミング手法も多様化した現代においては、一回りして建築分野が受ける示唆も多い。一般的なBIMユーザーはソフトウェア自体を構築する訳ではないが、例えばファミリ(情報部品)やテンプレートの整備をはじめとしてBIMデータの作り込みを求められる局面があり、上述したような複眼的なアプローチによる情報マネジメントが必要なケースもある。またBIMや3D-CADの拡張利用として近年展開の目覚ましい、GrasshopperやDynamoなどのVPL(Visual Programming Language)の活用においても重要な鍵を握るだろう。
 一方でこうしたソフトウェアやプログラミング言語は更新や変化も早いため、企業をこえた情報共有や共同開発(=非競争領域)が有効な役割を果たすところも大きい。国内でも複数のユーザーグループがその促進を目指し活動しているが、BIM IDEATHONの開催には新たな契機作りとしての狙いもあった。
(東京大学生産技術研究所/村井一)

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