【column BIM IDEATHON(9)】「未来を創る可能性」語り合う | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【column BIM IDEATHON(9)】「未来を創る可能性」語り合う

 約6カ月ぶりの再開となる。2018年11月6日から全8回にわたり連載した前編では『BIM IDEATHON』(以下、BI)の概要を紹介する第1回から始め、第2回から第7回にかけて、インプット講義として参加者に投げかけたさまざまな話題を振り返った。きょうからの後編では、BIで展開した活動の様子をお伝えするところからはじめ、BIを開催した2017年以降の国内外におけるBIM等デジタル技術の進展や新しいビジネス動向を踏まえつつ、今後の展望と課題を考えたい。

◆BIM IDEATHONの進行
 IDEATHON(アイデアソン)とは、「多くの人が一堂に会し、あるテーマについて集中的にアイデアを出し合うことにより、新たな発想を創出しようとする取り組みである」と第1回で紹介した。
 今回のBIでは、設計事務所や総合建設会社などの若手技術者を中心に延べ120人が参加し、BIMを取り巻く課題や自身の世代が「未来を創る可能性」について議論を深めた。
 司会進行は、ボードメンバーで行ったが、書籍『アイデアソン! アイデアを実現する最強の方法』(須藤順氏・原亮氏著、徳間書店)を参照し、全体のアジェンダを練った。
 グループワークの間にインプット講義を挟み、参加者が捻り出すアイデアの方向性を明確にするとともに、議論のポイントを提示することを意図した。

第4回のアジェンダ

◆仮想チームで運営準備
 インプット講義の企画、構成、スライド作成はすべて4人のボードメンバーで分担したが、参加者と同様、それぞれ所属企業、勤務地域が異なるため、SNSとクラウドストレージを用いた協働作業を進めるとともに、適時、ウェブ会議を開催して意見のすり合わせを行った。多様な働き方や柔軟な組織運営が取り沙汰される昨今、この点もBIの成果の1つとして、特記しておきたい。

◆アイデアラッシュ
 インプット講義に基づき、参加者たちがグループワークを始めるが、まず、各自が頭に浮かんだアイデアを次々と付箋に落とし込んでいった。次に、各自が付箋を読み上げながら用紙または机上に並べ、他のメンバーとも共有する。この時、アイデアはすべて同じ大きさの付箋に書かれ、優劣なく等価に扱えるため、よくある「声の大きい人の意見が優先する」ことはない。
 そして、メンバー全員で討議しながら、付箋をグループ化し整理して、さらに新たなアイデアを生み出す。このインプット講義とグループワークのサイクルを繰り返し、アイデアを収れんさせていった。

アイデアを共有しながらグループワーク

 最後に、各回のテーマに対する「答案」として、A1用紙1枚に表現した。
 アイデアを付箋に書き留めて共有する方法は、近年、認知度が高まっている「デザイン思考」でも利用されることが多い。デザイン思考はプロダクトやサービスの開発において脚光を浴びた手法であり、ユーザーやとりまく環境の観察と共感に基づき、課題の発見と解決を導くことが特徴とされる。

1枚にまとめた「答案」

 建築業界、特に設計者にとっては、ユーザーに共感する、という視点に新規性を感じないかもしれないが、建築業界のさまざまな課題の解決に、もっと広く用いられてもよいのではないか。(大林組/中嶋潤)

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