東京大学、光陽無線(福岡市)、関東地方整備局は20日、地域の浸水状況をリアルタイムで面的に検出・収集する「ワンコイン浸水センサー」を茨城県土浦市に設置した。
同日、土浦駅東ポケットパークで、東大大学院特任講師の猪村元氏、関東整備局河川部の秋山正人低潮線保全官、同霞ヶ浦河川事務所の須藤純一所長、同関東技術事務所の堀内輝亮総括技術情報管理官、光陽無線の宗聡経営企画室長らが出席し、土浦市の中川清市長に説明した。センサーは、過去に浸水被害があったアンダーパス(川口2)に3カ所設置した。
説明に先立ち、秋山低潮線保全官は「試験の成果を生かし、実際に浸水の切迫さを説明し、避難の誘導に生かす」とあいさつした。中川市長は「かつて霞ヶ浦の水位が上昇して、桜川の堤防が決壊するなど大洪水に見舞われたこともある。浸水センサーが冠水危険個所に設置されることは心強く、迅速な避難行動に効果を発揮する」と話した。
猪村特任講師は、「センサーが発した微弱な電波をルーターで受信し、水没した時は電波が飛ばずに浸水状況を把握できる。これまでは高精度のセンサーを設置していたが、これからは、安価なものを複数設置することで的確に状況を把握する」と説明した。
センサーの価格は1個100-1000円程度で、500円程度で実用化を目指す。電源不要、ボタン電池で1-10年稼働する。センサーとルーターの距離の目安は最大30mだが、20年度には最大400mとなる予定だ。
スマートフォンなどで直接受信できる技術の開発も進めている。将来は、浸水センサーをあらゆるところに設置し、AI(人工知能)で分析することで、浸水の進行が予測できる。一般家庭にも普及が進めば、各家庭で自発的な避難活動が可能となる。2020年度末までに調査結果をとりまとめる予定だ。今回は初弾で、埼玉県内でも1カ所で設置の準備を進めている。