【応用地質】双方向通信型ハザードマッピングセンサー使用防災システム 自治体らに提供開始 | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【応用地質】双方向通信型ハザードマッピングセンサー使用防災システム 自治体らに提供開始

 応用地質は、独自に開発した低価格・双方向通信型ハザードマッピングセンサーを用いた、自治体・土地改良区向け「ため池防災システム」の提供を開始した。激甚化する豪雨災害に対し、緊急的かつ比較的簡易な監視体制の整備を目的に開発したもので、ため池の氾濫危険情報をリアルタイムで発信し、自治体の防災担当者と連携した上で、下流域の住民の速やかな避難行動を支援する。
 ハザードマッピングセンサーは、冠水センサー「冠すいっち」や簡易傾斜計「クリノポール」を組み合わせ、広域なエリアに多数設置することで面的な水防情報体制を構築する。冠すいっちはセンサーをため池堤体の天端と表法上に設置し、標準で2深度、最大3深度で管理水位を設定。センサーが冠水すると電源が作動し、即座にクラウド経由で管理者にアラートを発信するとともに、危険が迫っているため池をスマートフォンやタブレット、パソコンのマップ上に表示する。クリノポールは堤体の裏法などにセンサーを設置し堤体の変動を監視。傾斜を感知すると電源が作動し、冠すいっちと同様にクラウドを経由してアラートを発信し、マップ上で表示する。
 センサー自体の費用は無料で、ユーザーにはセンサー個数に応じた月々の通信費を負担してもらう。設置個数が50個の場合、1台当たり毎月1万円となる。設置費は別途となる。
 センサーの種類や最適な設置個所の選定などは要望に応じて同社がコンサルティングする。水位計や雨量計、温度計などを組み合わせることで、災害時の備えだけでなく、平時の農業用水管理にも活用できる。
 かんがいを目的に築造されたため池は、西日本を中心に全国に約17万カ所存在していると言われる。近年は農業従事者の高齢化や世代交代による管理体制の弱体化などから設備や堤体の老朽化が進み、昨年7月の西日本豪雨では各地で決壊による被害が発生した。
 こうした災害時の決壊リスクが高まっていることを受けて、国は全国6万3722カ所のため池を決壊した場合に人的被害を与える恐れのある「重点防災ため池」に指定している。

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