【記者座談会】改正品確法の運用指針改正案/建設コンサル経営分析 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【記者座談会】改正品確法の運用指針改正案/建設コンサル経営分析

A 国土交通省は改正公共工事品質確保促進法(品確法)に基づく発注関係事務の共通ルール「運用指針」の改正案に対する意見照会を始めた。業界からの反応はどうなの。
B 意見が出てくるのはこれからだが、意見照会に先んじて開催された「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の建設生産・管理システム部会でも、運用指針の改正案が示され、委員である各団体からいくつかの指摘がされた。
C 改正法での調査・設計の品質確保の規定を受けて、運用指針で業務についての独立した章が新設されることから、業務に関係する意見が目立った。例えば、建設コンサルタンツ協会は「技術力による業者選定が前提であること」や「地元調整・協議が多岐にわたる時にプロポーザル方式を適用できること」などを明記することを要望した。
B 全国地質調査業協会連合会は、「業務でのウェアラブルカメラの活用や熱中症対策」「業務の成績評定の透明性確保」を求めた。全国測量設計業協会連合会は災害発生時に人員を確保するため、被災地以外の業務の停止について改正案に盛り込むよう訴えた。
A 指摘事項は改正案ではどうなっているのか。
C 現状でも改正案には指摘事項におおむね対応した項目がある。ただ、各団体はそこをより強調してほしいという思いがあるようだ。直轄では行われているものの、自治体では浸透していない取り組みも多々あることから、運用指針で明確化することで、改善を図っていきたい考えだ。
B 運用指針本文に明記するだけでなく、解説資料に位置づけることもできるだろう。国交省は今後、12月2日まで意見を受け付け、年内をめどに改正運用指針を策定して、2020年度から運用を開始する予定だ。

建設コンサルタンツ協会が10月29日に開いた関東地区での経営分析説明会には会員企業から約150人が参加した

◆V字回復もさらなる生産性向上を

A ところで建設コンサルタンツ協会が開いた19年度協会加盟会社の経営分析説明会では引き続き業績も好調に推移しているようだが。
D 会員会社487社のうち資料提出した399社の集計結果に基づく基本分析によると、18年は売上高規模別で見てもすべての階層で増収増益となった。特に6億円未満の中小クラスでの伸びが大きく、総売上高に占める建設コンサルタント収入の売上高が80%以上の専業社では営業利益が2年連続で前年から5割を超える増益となっている。
E 今回調査票を提出した専業社は178社だが、全体平均での総売上高営業利益率の推移を見ると、13年の4.7%から公共事業費の増加などに伴い14年は6.9%まで上昇したが、15、16年は5%台に低下。その後17年は職員数が変化しない中で売上高が増加したこともあって原価率が減少し、6.8%まで回復していた。その傾向は続いており、今回は7.5%と7%台を突破している。
A 技術者単価が7年連続アップしていることも大きいだろう。生産性はどうなの。
E 専業社の職員1人当たりの売上高は01年ごろまでは2000万円以上を維持していたが、その後10年以上も減少傾向が続いていた。14年は売上高の上昇もあって1910万円まで回復したが、その後はまた2年連続で減少。17年に1907万円まで戻し、18年は1944万円と増加基調を維持している。
D 民主党政権時代の深い谷間から見ればV字回復と言えるけれども、協会が目標とする総売上高営業利益率は12%であり、まだ道半ばとも言える。働き方改革も待ったなしだけに、IT化の推進を含め、さらなる生産性の向上が求められている。

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