【記者座談会】技術者単価が上昇 働き方改革・担い手確保にさらなる引き上げは必須 | 建設通信新聞Digital

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【記者座談会】技術者単価が上昇 働き方改革・担い手確保にさらなる引き上げは必須

建コン協、全地連、全測連の3団体は1月30日、国土交通省の秋元司副大臣に技術者単価のさらなる引き上げなどを求める要望書を提出した


A 国土交通省が、土木コンサルタント業務などの積算に使う2018年度の「設計業務委託等技術者単価」を決め、3月1日から適用を開始したね。
B 全職種平均の基準日額は3万7665円で、前年度に比べて3.0%上昇した。1997年度の基準日額を100%とした場合、約98%の水準まで回復した。今回の改定によって、6年連続の増加となる。
A 業種別の職階平均はどうだろう。
B 設計業務が前年度比2.3%増の4万5871円、測量業務が3.7%増の3万1160円、航空・船舶関係業務が3.1%増の3万5240円、地質業務が3.8%増の3万3400円となっている。
A 関係団体は今回の引き上げをどのように見ているのか。
C 建設コンサルタンツ協会の村田和夫会長は「給与実態調査に基づき、5年連続の引き上げとなったことは、喜ばしいことだが、将来にわたり優秀な技術者を確保するため引き続きの努力を払う」とした上で「会員各社一同、働き方改革に引き続き積極的に取り組む」とコメントした。
A 5年連続とあるが。
C 7つある技術者の職種全体が14年度から上がり始めたことから、5年連続というとらえ方をしている。村田会長は、働き方改革について「業務量が変わらないという前提で、短い時間で取り組もうとした場合、技術者単価を上げていかなければかなり厳しい」との認識を示した。また「技術者単価を上げてもらうことと合わせて、納期の平準化、長時間労働の削減などで必要な工程管理もお願いしていく」とも言及した。
A 他の団体はどう受け止めているのだろうか。
D 全国地質調査業協会連合会は「地質調査業の技術者の単価は、異業種の技術者に比べて低い。社会的地位が十分に確立されていない」としながら「来年度も、社会的認知度向上を含めて、技術者単価のアップをPRしていく」としている。
B 全国測量設計業協会連合会は、「対前年比で3.7%に引き上げてもらい感謝している。若手技術者の確保のためにも、引き続き、技術者単価の引き上げは必要と考えている」とコメントした。
A 働き方改革の実現、担い手の確保に向けても技術者単価のさらなる引き上げは必須といったところか。発注者側には実態に即した見直しによる適切な賃金水準の実現が求められそうだ。ところで建築設計界の反応は。
E 直接人件費にかかわるわけだから、もちろん歓迎していると思うが、やはり目下の関心事は業務報酬基準(告示15号)の改正だろう。公共工事に限らず民間の顧客に対して適正な報酬を求める根拠ともなる。その改正に向けて最も重要な判断要素と国土交通省が位置付けている業務の実態調査も始まった。全国約1400の建築士事務所を対象に2月26日付でアンケートへの協力依頼を送付しており、4月27日までウェブ上の回答フォームに必要事項を入力する形で回答を求めている。
F 対象事務所数は前回改定時に実施した調査(約1500事務所)と同程度だが、前回は各事務所3件に限定したプロジェクト数を今回は制限しない。より多くのサンプルを集めることで多様化・複雑化する業務の実態把握につなげる考えだ。今夏には調査結果が中央建築士審査会に提示されるが、この機会にぜひ建築設計・工事監理業務が担う役割について広く一般の理解を深めるような議論が展開されることにも期待したい。

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