【JS・堺市古川下水ポンプ場】雨水対策に有効な施設として期待 ICT活用・遠隔地から現場状況確認 | 建設通信新聞Digital

4月19日 金曜日

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【JS・堺市古川下水ポンプ場】雨水対策に有効な施設として期待 ICT活用・遠隔地から現場状況確認

 日本下水道事業団(JS、辻原俊博理事長)は5日、堺市の「堺市古川下水ポンプ場建設工事」(大林組・大本組・国誉建設JV)の現場を報道機関に公開した。局地的集中豪雨による浸水被害を解消するため、揚水量毎分約2100m3のポンプ場を整備する。今年度事業として、沈砂池・ポンプ棟の躯体工事に着手しており、現在、躯体コンクリートの打設工、切梁支保の撤去工を並行して進めている。
 堺市では2008年9月に観測史上最大となる時間雨量93mmを観測するなど、それまでの整備計画を超過する局地的集中豪雨により、浸水被害が発生していた。同市では、過去の浸水状況と浸水想定から危険度の高い24地区を「浸水危険重点地区」に設定。市域のすべての地区で時間雨量50mm以上の豪雨に対応する施設整備を推進している。古川下水ポンプ場は全長1.9㎞の出島バイパス線に接続し「戎島町周辺」「神南辺町周辺」「出島・西湊町周辺」の3地区の浸水被害の解消を図る。工事場所は堺区神南辺町地内。工期は15年2月20日-21年3月31日。
 躯体構築にはコンクリート6万m3、鉄筋7000t超を使用する。掘削深度33m、掘削面積は5000㎡を超え、関西有数の大規模工事となっている。
 大断面、大深度開削を実施するため「鋼管矢板工法」を採用した。直径1500mm、厚さ17mmで全長63mの鋼管166本の打設作業を実施した。鋼管打設後は地表面に作業用の仮設構台を設置し、切梁支保の開口部から重機の搬入や土砂の搬出を行っている。
 現場は化学工場跡地のため、掘削残土の約40%が管理土(重金属汚染土)だったことから表層調査の後には、大深度ボーリングや敷地全体を対象とした深度方向調査を実施した。管理土への対応としては鋼管内に残土を封じ込めることで、総量縮減を実現した。
 マスコンクリート対策として、3次元温度応力解析の実施、低熱コンクリートの使用など品質向上にも取り組んでいる。
 また、本現場では「遠隔検査立会システム」を試験的に導入している。コンクリートの現場品質管理試験、圧縮強度試験などの立会検査について、発注者・施工者・試験業者がインターネット回線を介して実施し、遠隔地からの品質管理を可能としている。3者はそれぞれ事務所などから検査できるため、臨場検査と比べ移動時間の短縮など業務効率の向上を実現する。そのほか、ICT活用の一環として、現場内6カ所にウェブカメラを設置し、タブレットやスマートフォンから現場の状況を確認できるようにしている。
 JSの児玉好史理事は「雨水対策に有効な施設になると期待している。JSとして引き続き自治体の支援に取り組んでいく」と話す。

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