【生産性向上】回答企業7割が導入済み 工事写真の撮影・管理を効率化する電子小黒板とは? | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

公式ブログ

【生産性向上】回答企業7割が導入済み 工事写真の撮影・管理を効率化する電子小黒板とは?

 電子小黒板は、スマートフォンやタブレット端末を活用し、工事黒板の撮影や写真管理業務を大幅に効率化する技術だ。チョークなどで書き込んで作成する工事黒板を電子データに置き換え、撮影時に自動的に画面に映り込ませることで効率化を図る。撮影するときに黒板の持ち手と撮影担当の2人が最低限必要とされたが、電子小黒板は1人できれいに撮影することが可能だ。撮影した電子小黒板データは、写真管理ツールを使えば自動的にフォルダに仕分けされるため、写真管理時間が大幅に削減される。

 i-Constructionを推進する国土交通省が2017年2月に直轄工事で認可して以降、多くの地方自治体や民間インフラ機関が追随している。民間建築でも受注者が主体的に利用を進めている状況だ。あらゆる工事で工事写真の撮影・管理は必須業務であり、安価な投資で業務の人手と時間を削減できるため、受注者の生産性向上の入門ツールとしても位置づけられている。

 日刊建設通信新聞社が2019年8月に実施した2回目の建設業・設備業工事業の電子小黒板導入状況アンケート調査では、有効回答266社のうち、70%に当たる185社が導入済みであり、検討中が11%の30社、合計で80%を超える。18年に実施したアンケート調査では導入済みが42%。1年の間に28ポイント増加するなど急速に普及している状況が浮き彫りになった。

 国交省が導入して約3年が経ち、利用法も高度化してきた。従来の導入目標とされた撮影-整理-納品の一気通貫のデジタル化による業務効率化に加え、最近は黒板データの作成と撮影の“分業化”も始まっている。小黒板データの作成は専門部署や担当者が一括して行い、現場は撮影だけに専念する方法だ。小黒板データの作成では事務職員や女性も活躍できるため、多様な人材が現場を後方支援できる。調査では全体の32%に当たる88社が分業化に「関心がある」と回答し、「関心がない」とする70社を上回り、注目度が高い。

 一方、電子小黒板の活用による1日当たりの業務短縮時間は、撮影時間では最も多い106社が「0.5時間」と回答。「1時間」は37社、「1.5時間」は10社、「2時間以上」は6社と続く。写真整理は「0.5時間」が65社、最も多いのが「1.0時間」の69社。「1.5時間」が14社、「2時間以上」が23社だった。

 大手、準大手、中堅クラスのゼネコン28社に限定すると、27社が電子小黒板を導入済みで1社が検討中の状況だ。導入企業のうち、試行段階は1社にとどまり、支店や部署など特定範囲で展開している企業が10社、半数以上の15社が全面展開している。

 活用レベルは、撮影のみにとどまる企業が1社、撮影と自動仕分けによる写真整理を組み合わせて活用している企業が15社。高度利用については、データ管理と撮影を分業化しているのは3社で、写真の自動整理と成果品出力のアウトソーシングに取り組んでいるのが7社となった。
 地域建設業の場合は、回答した139社のうち昨年の49%を上回る72%の100社が電子小黒板を導入した。1年間で23ポイント上昇した。
 活用レベルで見ると、撮影のみが6社、撮影と整理に活用しているのが88社、データ管理と撮影を分業化しているのは1社、アウトソーシングは3社だった。「分業化」に関心が「ある」のは45社、「ない」は48社となった。

 電子小黒板は、同じゼネコンでも現場や部署ごとに使用するアプリやツールが異なるケースが多いため、利便性を高めるために電子小黒板のアプリと写真管理ソフトがベンダーの枠を超えて相互に互換性を高め、データ連携する取り組みが進められている。

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら