【記者座談会】第201回国会が開会/前田建設と前田道路の対立 | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

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【記者座談会】第201回国会が開会/前田建設と前田道路の対立

A 第201回国会(通常)が20日に開会した。安倍晋三首相の施政方針演説は、何かと東京オリンピック・パラリンピックに絡めている点が話題になっている。
B 首相官邸のホームページに載っている演説をワード検索すると本文中に「オリンピック」が8回、「五輪」は3回の計11回登場する。ことしは五輪イヤーということで、ある程度は仕方がないのかもしれないが、五輪の政治利用ぶりが目立つ。例えば、中小・小規模事業者に関する部分では、前回の東京五輪で「東洋の魔女」が活躍したバレーボールのボールを生み出した広島の小さな町工場を前振りとして使っているけど、この部分が本当に必要なのだろうか。
C 地方創生に関する部分では、相次ぐ自然災害の教訓を生かし、全国で川底の掘削、堤防の整備、無電柱化を進めるなど、国土の強靱化への決意を改めて示していた。一方で、地方創生の成功例として実名で紹介した島根県江津市の男性が既に県外に転居していたことが判明する珍事も起きた。どことなくつくり込みが甘い印象だね。
D 建設業界にとっては、何と言っても2019年度補正予算案の成立時期に注目が集まる。与党からは1月内の成立を目指すという声も上がっているようだが、カジノを含む統合型リゾート(IR)に絡む汚職や桜を見る会の問題などをめぐる野党側の攻勢次第では、審議に遅れが生じる可能性もある。
B 成立が遅れれば、15カ月予算の効果が薄まる。保身や党利党略に終始するのではなく、政治の原点を見つめ直し、国民目線で実のある論争を期待したい。

建設業界にとっては、何と言っても19年度補正予算案の成立時期に注目が集まる

「平行線」「一方的」 着地点に注目

A 話は変わるけど、20日に前田道路が前田建設に対して資本関係解消に向けた提案を実施し、前田建設が前田道路に対して連結子会社化に向けた株式の公開買い付けを開始することをそれぞれ発表した。
E 前田建設側は、公開買い付けによって「総合インフラサービス企業グループへの昇華」「デジタル連携の推進」「コンプライアンス・ガバナンス体制の再構築」といったメリットが双方にもたらされるとしている。一方の前田道路側は、「前田建設との間で事業シナジーが見込まれないこと」「さらなる内部留保水準の適正化が必要であること」「経営陣の独立性が確保された事業遂行を継続する必要があること」から、資本関係解消に向けて前田建設が保有する自社の株式を取得することを提案している。
F 20日に会見した前田建設の前田操治社長は「19年5月ごろから、企業価値向上のための事業シナジーやガバナンスの確立について提案・協議し、それとともに総合インフラサービス企業グループの実現のために前田道路の過半数を取得する資本関係強化の提案も実施してきたが、具体的な議論を深めることができず議論が平行線をたどることとなったため協議を打ち切り公開買い付けを実施することとした」と経緯を説明した。前田道路側は、「当社に対して何ら正式な連絡もなく、一方的かつ突然に行われたもの」として、「関連情報を精査した上で、速やかに当社の見解を公表する予定」とリリースしている。
A 両社の確執は深そうだね。この記事が掲載されている時点で新たな動きが出ている可能性もあるが、両社がどう着地点を見いだすのか。今後の動向を注視したい。

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