【2021年総括記者座談会】史上初、無観客での開催  コロナ禍と五輪・パラリンピック | 建設通信新聞Digital

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【2021年総括記者座談会】史上初、無観客での開催  コロナ禍と五輪・パラリンピック

 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染拡大防止へ世界が対応に追われた。21年8月には開催を1年延期した『2020東京オリンピック・パラリンピック』が開かれた。


東京オリンピックの開会式当日(2021年7月23日)
国立競技場の上空を通過するブルーインパルス


A 57年ぶりとなる東京開催のオリンピック競技大会が7月23日から8月8日、パラリンピック競技大会が8月24日から9月5日まで開かれた。新型コロナウイルスの感染症拡大によって開催を1年延期したものの、大会期間中は国内の感染状況が深刻化し、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の対象地域が計19都道府県に広がったね。

B 感染拡大により史上初の無観客試合を強いられるなど、必ずしも順風満帆の開催とは言えなかった。大会は「復興五輪」「コロナに打ち勝つ」などと大会の開催意義が語られ、「安全・安心」を掲げたが、選手や大会関係者の感染数は400人を超え、快適だとアピールしてきた気候は猛暑が続き、熱中症を訴える関係者が相次いだ。

C オリンピック・パラリンピックの主役はアスリートだが、その舞台となる競技施設は建設産業界が携わり、高度の技術力を発信する場でもあった。無観客になったことで、施設の素晴らしさを体感する機会が失われてしまったことは残念だったね。

D 国立代々木競技場のように、前回の1964年大会での競技施設がレガシーとして歴史を紡いでいる。今回の施設もレガシーとなって高い評価を得てほしいね。今回の競技施設で役割を果たしたのは木材と言える。国立競技場では屋根や軒庇(ひさし)などに全国47都道府県から調達した木材を積極的に活用した。有明体操競技場でも、大空間を演出するアーチ梁や観客席、外構などに木材が大量に使われた。

A 既に競技施設にあった仮設観客席などは撤去が進み、今後は残る競技施設の利活用が問われるが、管理・運営での赤字が心配だ。

B 施設を生かしたまちづくりはこれからが本番だが、コロナ前に描いていたスポーツやイベントなどによるにぎわいは簡単には望めそうもない。いまの段階では、未来に伝える競技施設のレガシーは不確かで、後世への付けが懸念される。社会が競技施設に愛着を持ち、利用しやすくなるように、建設産業がインフラ整備やまちづくりの役割とともに、競技施設の魅力を機会があるごとに発信し、伝え続ける努力も求められていると思う。

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