【建設ICT 新時代へ】Land Dimension Works レーザー水糸器「LLS-200」 勾配作業を大幅省人化 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【建設ICT 新時代へ】Land Dimension Works レーザー水糸器「LLS-200」 勾配作業を大幅省人化

 「これを使えば道路舗装の検測作業が、たった1人でできてしまう」と、自社開発したレーザー水糸器『LLS-200』を指さすのはLand Dimension Works代表の奥田一貴氏だ。専務を務める奥田組(京都市)の道路舗装工事では2010年から使い始め、いまや現場の生産性向上に欠かせない「必需品」になっている。

レーザー水糸器はICTとアナログの中間に位置するツール

 現況路盤を整えた上でアスファルト舗装を行う道路舗装の工事工程では完成時の雨水対策として、路面に1.5-2.0%のわずかな勾配を持たせる必要がある。一般的には作業員3人が1組になり、20m間隔で水糸を使って角度を測りながら路盤勾配を整えている。この作業を怠ると、路面にむらができてしまい、駐車場整備などでは水たまりの原因にもなってしまう。施工品質を確保する上で、勾配の検測は念入りに時間をかけなければいけない。
 「この作業をもっと効率的にできないものか」。同社は従来の水糸計測を省人化する手段として、レーザー機器の活用を模索し、研究を進めてきた。14年には特許を取得し、レーザー水糸器の販売をスタートさせたのは17年に入ってからだ。奥田代表は「GPS(全地球測位システム)を使った計測機器は有効だが、高額であり、われわれ中小建設会社では手が出せない。より簡易で手軽に使える機器の開発を目指してきた」と説明する。

奥田代表

 レーザー水糸器は、置いた位置からレーザーを照射するもので、勾配角度も細かく設定できる。作業員はレーザーの照射位置をスケールで測ることで、1人でも図面通りに路盤の水勾配が確保できているかを把握できる。従来は3人1組の作業となり、水糸を2人の作業員が持ち、残り1人が検測していた。検測作業の省人化が実現したことで「通常では20m間隔で行う検測作業を、自社の工事では5m間隔で進めており、施工品質の向上にも役立っている」という。
 奥田組では試作段階の10年から道路舗装工事で活用をスタートさせ、現在は施工するすべての舗装工事に愛用している。保有する4台のレーザー水糸器は常にフル稼働状態だ。いまや現場の生産性向上には欠かせない存在になっている。同社の現場は生産効率が従来作業に比べ1.7倍に達する上、勾配確保の施工品質も大きく向上した。
 19年9月からは、あえてレーザー照射の勾配角度が設定できないシンプルな『LLS-150』も販売のラインアップに加えた。価格(税別)は勾配設定可能なLLS-200が44万円、LLS-150は24万円に設定した。同業の道路舗装会社だけでなく、レンタル会社も購入してはいるが、現在はまだ販売台数が累計で十数台にとどまる。
 現在はいずれも受注生産だが、注文台数がもっと増えれば金型生産に移行でき、販売価格をさらに引き下げることができる。奥田代表は「レーザー水糸器はICTとアナログの中間に位置するツール。より現場目線に立った最適解がこれだった。建設現場の方々にもっと広く知ってもらいたい」と力を込める。
 
 
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