大成建設と四国計測工業は、再生医療や細胞医薬の分野における多層フラスコを使った細胞培養の全工程を1台の装置に集約して自動化した「多機能細胞培養システム」を開発した。26日から28日まで大阪市のインテックス大阪で開かれる「インターフェックスWeek大阪」でモデル機を公開し、10月に販売を始める。自家細胞医薬の製造施設案件の付加価値として提案することで、建設工事の受注にもつなげたい考え。
「多機能細胞培養システム」は、回転モーターで前後・左右2方向に多層フラスコの姿勢を変えられるほか、バルブ操作を機械化して送液チューブの流路を自動開閉する。培養液の注入・排出時に多層フラスコを回転させる装置や一定温度に位置する恒温装置、観察装置も一体化させた。制御用PCを使って培養中のすべての操作をプログラミングし、必要な注液・排液操作を自動で実行し、データを記録できる。1台の装置内で、多層フラスコを取り出すことなく、送液から保温培養、観察、振とう動作、排液まで可能になるため、作業負担の軽減や誤操作の防止のほか、培養環境を変えることなく一連の操作ができる。両社共同で特許を出願した。
大成建設では、自家細胞医薬の製造施設案件の付加価値として提案して建設工事受注につなげる考え。再生医療用工場の建設市場は、年間50-100億円で、このうち多層フラスコを使う施設は3分の1程度を占めると言われており、装置の特長を生かした市場獲得を狙う。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら