【大成建設と四国計測工業】細胞培養の全工程を1台の装置に集約・自動化 医薬の製造施設に提案 | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【大成建設と四国計測工業】細胞培養の全工程を1台の装置に集約・自動化 医薬の製造施設に提案

 大成建設と四国計測工業は、再生医療や細胞医薬の分野における多層フラスコを使った細胞培養の全工程を1台の装置に集約して自動化した「多機能細胞培養システム」を開発した。26日から28日まで大阪市のインテックス大阪で開かれる「インターフェックスWeek大阪」でモデル機を公開し、10月に販売を始める。自家細胞医薬の製造施設案件の付加価値として提案することで、建設工事の受注にもつなげたい考え。

多機能細胞培養装置

 新たな医療技術として広がっている再生医療・細胞医薬の分野では、培養する細胞が約10億個以下の場合は通常シャーレなど、数兆個に及ぶ場合は大規模なタンク、約100億個程度の中規模な場合、多層フラスコ(多層培養容器)がそれぞれ採用される。ただ、多層フラスコの場合、機器の操作手順が煩雑な上、培養液注入から培養、培地交換、細胞観察、細胞回収までの工程ごとに多層フラスコを運搬する手間もかかる。培養液交換や観察の際に、多層フラスコを機器内からいったん外に出さなければならず、適切な環境を維持できないという課題もある。
 「多機能細胞培養システム」は、回転モーターで前後・左右2方向に多層フラスコの姿勢を変えられるほか、バルブ操作を機械化して送液チューブの流路を自動開閉する。培養液の注入・排出時に多層フラスコを回転させる装置や一定温度に位置する恒温装置、観察装置も一体化させた。制御用PCを使って培養中のすべての操作をプログラミングし、必要な注液・排液操作を自動で実行し、データを記録できる。1台の装置内で、多層フラスコを取り出すことなく、送液から保温培養、観察、振とう動作、排液まで可能になるため、作業負担の軽減や誤操作の防止のほか、培養環境を変えることなく一連の操作ができる。両社共同で特許を出願した。
 大成建設では、自家細胞医薬の製造施設案件の付加価値として提案して建設工事受注につなげる考え。再生医療用工場の建設市場は、年間50-100億円で、このうち多層フラスコを使う施設は3分の1程度を占めると言われており、装置の特長を生かした市場獲得を狙う。
 
 
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