【金子機械】担い手確保のため外国人材を積極採用 社内にもたらされた思わぬ効果とは? | 建設通信新聞Digital

4月18日 木曜日

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【金子機械】担い手確保のため外国人材を積極採用 社内にもたらされた思わぬ効果とは?

 人材の確保に建設産業界の多くの企業が苦しむ中、横浜市に本社を置く建設機械レンタルの金子機械(金子直樹社長)は、海外に視野を広げ、外国人材を正社員に採用することで、自社の持続的成長につなげようとしている。アジアの発展途上国に目を向け、たまたまたどり着いたモンゴルから人材の採用を開始したのが2018年8月。現在はモンゴル人4人、ミャンマー人1人の計5人が正社員として働いており、「一緒に働く日本人社員の成長にもつながっている」(金子社長)と思わぬ副次的効果をもたらしている。

金子直樹社長


 同社は、1945年に創業、58年に設立した日本で最も歴史ある建機レンタル会社で、現在の金子社長は3代目となる。特殊性の高い基礎工事用の建機に特化した商品構成と高い整備力を武器に業績を順調に伸ばしている。

 金子社長は「建機レンタルは、メーカーから同一の建機を仕入れてレンタルするため、差別化が難しい。安定したサービスを提供し続け、そこに強さを見つけて、競合他社に勝ち続けていくという戦略を描かなければ生き残っていけない」と説明する。
 その上で「まずはヒト・モノ・カネがあることが大前提で、老舗というメリットに甘えるのではなく、既成概念を取り払って改革を続け、時代に適合させていく必要がある。そう考えると、ヒトの面では、日本の人口は減っており、建設業界は若手が入ってこない厳しい状況なので、外国人材の採用は1つのかぎになる」と指摘する。

 外国から遠い日本に働きに来るため、採用した外国人社員は「心構えが日本人と大きく異なり、ハングリーさが非常に強く、労働意欲は高い」という。ただ、文化や習慣の違いもあり、「受け入れ側の日本人社員の感覚を変えなければならず、そこが一番苦労した」と振り返る。例えば、日本では、相手の考えを察することが美徳とされているため、外国人社員が言葉を間違えても、日本人社員は相手の言いたいことを察して、間違いを指摘しない。それが結果的に外国人社員の日本語上達を阻害していた。

 「当初、日本にわざわざ来ているため、お客さま感覚で接してしまう部分が見受けられた。日本語が少しでもできると、日本人社員は『日本語が上手だね』と声を掛けていた。日本語が劣っている時点で、仕事が劣っているということを多少きつくても伝えないと成長につながらない。謙虚といった感覚が日本人と外国人では異なるため、それを日本人社員が強く理解した上で、外国人社員に教えていくという姿勢が大事ということが分かった」と語る。

 日本語の上達は、働く上で必須の条件のため、同社では、費用を負担して日本語学校に通わせ、個別にインターネットレッスンも受けさせるなど力を入れている。建機を手配するフロント業務に携わるモンゴル人の女性社員は、週3回の日本語レッスンを半年以上続け、日本語学校に1カ月間通った。いまでも毎日チャットで日本のドラマなどの感想を送ってもらい、日本人社員が添削している。その結果、「お客さまの電話対応は難しいが、社内のコミュニケーションはだいぶ取れるようになった」という。

 また、「外国人材の採用は、人材不足の解消という面だけでなく、一緒に働く日本人社員の成長にもつながっている」とも。「文化や習慣、考え方の違う外国人と働く機会はほとんどなかったが、それが当たり前になると、グローバルではない社員であっても、新たな視野が広がり、一気に新しい発想や、より合理的な考えに結び付きやすくなる」との感想を漏らす。

 現在、新たにモンゴル人1人の就労ビザを申請中で、外国人材の採用を引き続き進めていく方針だ。「今後はミャンマーやベトナム、その他周辺諸国に対象国を広げ、一定程度、国のレパートリーを増やしていきたい」と明かす。その狙いは、「外国人社員には、祖国の代表という覚悟を持って当社で働くよう指導しており、国のレパートリーがある程度増えれば、切磋琢磨(せっさたくま)できる、いい意味での競争環境が生まれる」と期待を寄せる。

金子社長(左から2人目)と機械整備を担うモンゴル人社員3人

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