【記者座談会】緊急事態宣言から10日 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

公式ブログ

【記者座談会】緊急事態宣言から10日

A 新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向け、政府が緊急事態宣言を発令してからきょうで10日が経過するけど、建設産業界の対応は。
B ゼネコンやコンサルタント、建築設計事務所は大手企業を中心に、政府の要請を受ける形でテレワークに踏み切るケースが相次いでいたが、宣言発令後は一層の在宅勤務の徹底が図られている。当社編集局への着信番号も固定電話ではなく、携帯からの番号が増えている。この間、複数のゼネコンが宣言対象地域内の作業所を閉所する方針を打ち出しており、現場での対応は次のステージに移行したという印象だ。状況次第では、現場への影響はさらに拡大しかねない。
A 国土交通省が14日に公表した、緊急事態宣言発令後の直轄工事・業務における、受注者からの一時中止などの申し出状況は。
C 緊急事態宣言の対象地域では、10日時点で工事は80件、業務は230件の申し出があった。業務については全体の3分の1が一時中止などを申し出ている。工事は全体の8%だが、感染が拡大する状況が長引いた場合、一時中止の申し出がさらに増加する可能性もある。
D 赤羽一嘉国交相は同日の閣議後会見で、「感染の拡大に伴う工事の一時中止などにより、経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な下請企業に追加費用の発生などのしわ寄せがないように対応することが必要だ」と述べた。現場閉所の長期化は、下請企業の資金繰りに大きな影響を及ぼす。日給月給の技能労働者にとっては死活問題だ。
B 帝国データバンクが全国の2万3676社を対象に実施した調査の結果によると、2020年度の業績見通しについて、減収減益を見込む企業は44.4%となり、厳しい見方が広がっている。建設業は51.4%が減収を見通している。減収減益を見通す企業は19年3月の前回調査に比べ、22.6ポイント増となった。“アフターコロナ”もさまざまな問題がくすぶり続けそうだ。
A 業績見通しの上振れ・下振れ材料は、やはりコロナウイルスの影響によるものだろうか。
B 上振れ・下振れ材料ともコロナ関連がトップだった。上振れ材料については、新型コロナウイルスに関する「感染症の収束」が43.3%で最も多い。一方、下振れ材料も「感染症の拡大」が62.0%で最多だった。業績見通しを業界別にみると、「卸売」「小売」は6割以上が減収を見込んでいる。10業界中8業界で減収見通しが5割を上回り、コロナショックに対する警戒感の広がりがうかがえる。

感染拡大は建設関係団体の総会にも大きな影響を与えている

◆総会は規模縮小、書面持ち回り、懇親会中止

A 4月も半ばを過ぎ、大型連休が明ければ建設関係団体の総会シーズンに突入するが、各団体の対応は。
D 団体の事務局会議室で規模を縮小しての開催や、通常開催、書面の持ち回りで議決案件を承認するなどさまざまなパターンがある。緊急事態宣言期間が明ける5月6日以降に最終的な開催形態を決める団体もある。主要団体も含め、総会後の懇親会は軒並み中止という状況だ。宣言期間が延長された場合、通常開催を取りやめる団体が出てくる可能性もある。
C 総会後の懇親会は、記者にとって各団体の首脳や関係省庁の幹部と接触することができる絶好の機会だけに、中止は正直なところ痛い。
A とはいえ、見えない敵を封じ込めるためには致し方ない。早期の収束に向けては業界一丸となった取り組みが必要だ。

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら