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【東芝エレベータ】神戸市内の公園灯1万超をLED化 ESCO事業者が見据える今後の展開とは

 「神戸市のような公園灯ESCO事例が、全国的に増えてくるだろう」と、東芝エレベータ関西支社の飛松健一ビルファシリティー営業グループ主任は見通す。神戸市内の公園灯を対象にしたESC0(エネルギー・サービス・カンパニー)事業がスタートしたのは2019年7月。市内にある約1600の公園には1万超の公園灯がある。ESCO事業者に選定された同社は、全ての公園灯をLED照明に切り替えるとともに、維持管理をより効率的に進める枠組みとして、独自の管理台帳システムも構築した。

飛松氏(右)と武井氏


 試算によると、年間光熱水費は更新前に比べ約1億円規模の削減が実現できる見通し。公園灯に関連した維持管理業務も一本化できるため、市にとってはコスト縮減に加え、これまで公園灯の管理に費やしていた職員のマンパワーを他の業務に振り分けられるメリットも生まれる。

 道路灯、街路灯、防犯灯などをLED化する動きは全国的に拡大しているものの、地方自治体が管理する全ての公園灯を対象にした神戸市のESCOは全国でも初の試み。同社は1万灯を超える公園灯をわずか3カ月でLED化するとともに、クラウドを介して公園灯を管理できる独自の台帳システムも開発した。担当したビルファシリティー部の武井義則氏は「地元の専門工事業者と連携し、1班3人の20班体制を組み、1日200灯のペースでLED化を進めてきた」と振り返る。

1万強の公園灯をわずか3カ月でLED化した


 エレベーター製造から据え付け、保守までを担う専業メーカーの同社だが、東芝グループのシナジーを生かし、15年ほど前から建物のファシリティー領域にも進出してきた。中でも施設を対象にしたESCOには同社自身が事業者となり、積極的な受注活動を見せている。既に施設ESCOの実績は準備中も含め約35件。関西地区を見ても2月に2件、3月に1件の事業を獲得した。道路灯や防犯灯などを含めた街灯ESCOも累計で20件規模に達し、業界トップクラスを誇る。

 地球温暖化対策で20年末を期限に水銀灯の製造中止が国際条約となり、公共事業でもLED化への切り替えが顕著だが、これまで道路灯や防犯灯が優先的に進められてきただけに、飛松氏は「これからは公園灯の動きが出てくる。神戸市の実績を足がかりに、公園灯ESCOの営業を強めていく」と明かす。同社はリース方式で道路灯などに照明機器を提供した自治体も数多くあり、そこへの呼び掛けもスタートさせた。

 公園は防災拠点としての役割を担う。公園灯のLED化は照明リースの更新時に対応する自治体も少なくないが、公共サービス向上の手段として、神戸市のようにESCO事業を活用する効果は大きい。神戸市では全ての公園灯に管理番号のシールを貼り、市民が故障を見つけた際にその場で電話連絡できるような工夫もしている。武井氏は「管理台帳システムを構築したことで、管理の見える化が実現している」と説明する。神戸市には、他の自治体からの問い合わせもあるという。

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