【次世代への技能伝承へ】日立建機 溶接作業の技能教育に向けた訓練システムの開発に着手 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【次世代への技能伝承へ】日立建機 溶接作業の技能教育に向けた訓練システムの開発に着手

 日立建機は、溶接作業の技能伝承を目的に熟練技能者による複雑な作業を定量的なデータによって“見える化”する計測技術を開発した。2020年度から、この計測技術をベースに溶接作業における技能教育への活用に向けた実証実験を開始。より効果的な技能教育を行うための訓練システムの開発に乗り出す。

若手技能者の溶接作業を計測


 建設機械の主要部品は、鉄を溶接した製缶構造物の比率が高い。品質の安定化と生産性の観点から、溶接ロボットによる自動化が進められているが、構造物の用途や負荷条件を踏まえた溶接方法の検討や、強度を保つための仕上げ・補修といった工程は、目視での判断などいわゆる“人の手”による高度な技術が必要となっていた。

 とりわけ複雑で繊細な動作が求められる溶接作業は、作業者の経験や感覚に左右されることも多いため、教育・訓練などによって習得する技能に個人差が生じやすい点に着目。そうした課題の解消へ、溶接作業の過程を定量的なデータで見える化する計測技術の開発によって、若手技能者と熟練技能者の技能を比較しながら、より効果的な技能教育を行うための環境整備に踏み出す。

 実際に土浦工場と常陸那珂臨港工場の熟練技能者と、国内拠点の若手技能者(約20人)を対象に、溶接作業での視線、溶接トーチを動かす速度や電流・電圧といった諸条件、溶接部の状態を、複数のカメラやモーションキャプチャを用いて測定。計測したデータと仕上がり・品質の相関性を解析することで、溶接条件や動作に関する同社の品質基準に沿った新たな基準を整備する。

 その基準と、若手技能者の溶接作業を比較できる訓練システムを開発することで、若手技能者は視覚的かつ定量的な情報によって自身の改善点などを把握。若手技能者を教育する教官もデータに基づいた具体的な指導を行うことができるというわけだ。

 訓練システムを活用することで、溶接作業における効果的な技能の習得と、習得レベルの個人差といった従来からの課題を解消。製品の品質の維持や改善、生産性の向上に結び付けていく。

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