オプテックス(大津市・上村透社長)は4月から非接触型スイッチ『クリーンスイッチ』の販売を始めた。食品工場など衛生基準が厳しい環境での需要増を想定しているが、新型コロナウイルスの影響により、非接触型スイッチの需要も高まってきた。竹田和義エントランス事業本部課長は「非接触型機器のニーズは拡大傾向にあり、さまざまな用途での活用を探りたい」と語る。
自動ドアや防犯用センサーなどを得意とする同社は、既に近赤外線反射方式の非接触型スイッチを2007年から販売しており、主に工場や病院などで採用されている。
発売から10年以上が経過し、現場によってさまざまな課題や要求があがっており、利用される現場に最適な動作を実現するために、技術面、形状面などで改良を重ねてきた。
用途が拡張されていく中、食品工場などの衛生基準が厳しい環境では、室内全体を高圧洗浄機で水洗いするため、近赤外線反射方式では水滴などで誤動作してしまう課題があった。クリーンスイッチはこうした背景をきっかけに販売が始まった。業界最高レベルの防水構造(IP65)とすることで高圧洗浄機などによる洗浄にも耐える。また、同製品はマイクロウェーブによる検出方式を採用し、結露による影響を受けにくく、安定した動作を可能とした。
中央部のリングにはLEDの動作表示灯が配置され、視認性にも優れている。動作表示灯は、青、緑、赤、無色と色パターンを選択できるほか、明るさも調整できる。検出するとリレーがONになり、その状態を保持。再度検出するとOFFに戻るラッチモードなど各施設の運用に応じた設定も可能だ。
デザインも高く評価され、18年にはドイツのノルトライン・ヴェストファーレンデザインセンターが主催する「レッド・ドット・デザイン・アワード」も受賞している。
非接触スイッチではセンサー部と自動ドア装置間に専用のシールド線が必要となる機器もあるが、クリーンスイッチは既存の電気配線をそのまま利用できる簡単な施工性にも特徴がある。実際に前述の愛知県の工場では既存の配線を利用できるため採用に至った。
食品工場が相次いで建設されていることに加え、認知度が広がるにつれて問い合わせも多くなってきている。後藤輝和エントランス事業本部マーケティングマネジャーは「高い防水性能は特に評価されている」とした上で「衛生基準が厳しい施設にとっては大きなメリットとなる」と語る。
これまで、自動ドアメーカーや施工店への営業が主だったが、今後は食品工場を専門に手掛ける設計事務所やプラントエンジニア会社などへの営業活動も狙う。ターゲットとなる施設も食品工場だけでなく、病院や福祉施設などへ攻勢をかける。
後藤氏は「極力触らないスイッチのニーズは今後も高まる。水洗いを想定した新規の現場で需要が増えていくだろう」と期待する。