【現場のニーズを"見える化"】国土交通省 道路分野への新技術導入促進方針と計画を策定 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【現場のニーズを“見える化”】国土交通省 道路分野への新技術導入促進方針と計画を策定

 国土交通省は、道路分野における新技術導入促進方針と、それに基づく2020年度の新技術導入促進計画を策定した。これまで必ずしも新技術の導入・活用が十分ではなかったとの基本認識に立ち、「良い技術は活用する」姿勢を明確に打ち出した。現場ニーズを“見える化”した上で技術を公募・実証するとともに、技術基準の性能規定化を一層進め、道路分野の質向上などにつながる新技術を導入する。特に建設関係以外の異業種企業や他分野の産業が有する新技術・新材料に期待を寄せており、積極的に取り入れることで道路のイノベーションを創出する狙いだ。

2020年度新技術導入促進計画


 重点的に取り組む分野には3点を示した。1点目は、従来の道路の概念にとらわれない斬新なアイデアを取り込んだ道路の多機能化・高性能化。2点目は業務プロセスの改善につながるICT技術などの活用で、3点目が新技術・新工法の導入を可能とする技術基準類の整備だ。

 新技術の導入に向けた具体の取り組みは、▽現場ニーズと技術リクワイヤメント(要求事項)の見える化▽性能規定化の促進▽新技術導入に必要なプロセス検討のための体制強化–の3本柱で進める。

新技術導入の検討体制


 現場ニーズと技術リクワイヤメントは、毎年度策定する新技術導入促進計画で示し、道路管理者や受発注者、技術の開発者に対して見える化する。初年度となる20年度は11の技術テーマを設定し、現場ニーズと技術リクワイヤメントのほか、導入した場合の想定規模や改定予定の技術基準などを計画に記載した。計画に沿って民間や大学などから技術を今後公募し、実証に取り組む。

 技術基準の整備も急ぐ。国交省は01年に「車道及び側帯の舗装の構造の基準に関する省令」を定めて以降、技術基準の性能規定化を進めてきた。だが、材料や工法によっては性能を確認する方法が技術基準で明示されていなく、性能を満たすかどうかを個別に検討する必要がある点が、新技術導入のボトルネックになっていた。実証に合わせて、新技術の性能を確認する方法を検討し、技術基準に位置付ける。

 技術基準の整備に向けた体制を強化するため、国交省を支援する第3者の導入促進機関を選定する制度を創設した。国交省が設定した技術テーマに基づき、導入促進機関が技術の公募、応募された技術の実証、テーマに求められる要求性能や確認方法の原案作成を担当する。20年度は6団体を導入促進機関に選んでいる。

 技術の公募に当たっては、コストの制約がある中で新たな現場ニーズに対応するため、装置の寿命や精度、外観、使用性などトレードオフとなる部分をダウングレードする提案を受け入れる方針だ。

 新技術の開発に向けては、NETIS(新技術情報提供システム)のテーマ設定型や、実証フィールド・実測データの提供など、既存の制度を有効活用し、基礎から応用、実用化に至る研究開発を支援する。

 技術基準の策定や改定に関する議論に道路管理者や発注者を積極的に参画させることで、新技術の採用や検証を判断できるインハウスエンジニアの育成につなげる。

 国交省は新技術導入促進方針の結びに、「全国の建設工事の現場で示される無数のアイデアを取り込み、失敗を恐れず新技術の導入が促進されるよう、必要な対応を行っていく」と、新技術導入に向けた決意を記している。

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