【"コロナ後"の働き方】変わっていくものとは? オカムラがこれからのオフィス変容を予測 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【“コロナ後”の働き方】変わっていくものとは? オカムラがこれからのオフィス変容を予測

 オカムラは12日に『アフターコロナに向けたワークプレイス戦略 コロナショックが変える働き方と働く場』『柔軟な働き方の効果検証報告書 ウイズコロナの働き方と働く場』と相次いでリポートを発表し、新型コロナウイルスの影響によるオフィスのあり方の変容を予測した。予測では、オフィスの設計・運用コンセプトの転換や、オフィス設備で以前より重視される機能について考察した。

 リポートでは、緊急事態宣言が解除されたが新型コロナウイルスの感染拡大リスクが残る「ウイズコロナ」、ワクチンなど対処法が確立された「アフターコロナ」の段階に分けて影響を分析した。早急な対応で「ウイズコロナ」中の感染リスクを小さくするポイントを押さえつつ、「アフターコロナ」の変化にフレキシブルに対応できるオフィスが求められると概括する。

飛沫拡散防止デスクトップ仕切りパネル


 「ウイズコロナ」中は、3密(密閉・密集・密接)の回避が課題となる。同社デザイナーは、既存の一般的なオフィス設備・構造のままソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保して働くには、コロナ以前と比べオフィスの人口密度を半分にする必要があると試算した。

 従来、一般的な事務用デスクの奥行きは700mm、幅が1000-1400mmで、会議用テーブルも1200-1400mmが主流だった。ソーシャルディスタンスを保つ執務を前提とすると、オフィスを寸法のモジュールから変える必要がある。

 比較的すぐにできる対策としては、学校の生徒のように全員が同じ方向を向く、あるいは背中合わせなどイスの配置を調整したり、デスクに仕切りを後付けすることなどを挙げた。同社試算では、飛沫感染防止には450mm以上の仕切り高さが推奨され、既存デスクに後付けできる「飛沫拡散防止デスクトップ仕切りパネル」も21日から発売した。

学校式・背面式の座席配置


 フリーアドレスを採用するオフィスについては、いつ誰がどこを使ったのか把握しにくい(感染予防策や感染経路特定が難しい)ので、予約制を明確に運用し「いつ誰がどこを使ったのか」をトレースできる「ホテリング」が運用に必要との見方を示す。

 運用以外でも、フリーアドレスオフィスの共用スペースは、これまでコミュニケーション促進や利用状態を一目で把握しやすいようフロア内の特定のエリアに集中させることもあったので、感染リスク軽減のため共用スペース自体を分散させる必要性があるとも指摘する。また非フリーアドレスでも、コピーコーナーなど多数で密集しやすい設備は分散させるか、ペーパーレス化などで削減することが望ましいとした。

 「アフターコロナ」の段階も視野に入れると、テレワークするオフィスワーカーが増えたり、テレワークときどき出社という働き方が広まることをほぼ確実と見なした。それに伴い、テレワークする人の管理に向いたオフィス機能が必要とされ、設備の需要が変化することも予測した。

 例えば、テレワークが増えるとオフィスの流動性が増すので、利用者自身で簡単に可動できる設備の重要性が高まる。利用者の密集を避けるオフィス内の位置情報管理システムも需要が増える。レイアウト面は、スーパーなどの商業施設のように、なるべく出退勤の動線が一方通行になるものが好まれ、交差点や行き止まりは人が滞留しやすくなるので以前よりもさらに避けられる。

一般的なオフィスレイアウトではソーシャルディスタンスが保ちにくい


 設備面では、ウェブ会議用のスペースなどでは個室の換気・清掃性、接触による感染リスクを減らせるハンズフリー技術や設備の利用者を限定・特定できる仕組み(顔認証入退場管理システム、位置情報検知システムなど)、化粧板・塗料などでは抗ウイルス・抗菌機能や次亜塩素酸ナトリウム・アルコールなどの消毒剤に耐えられるメンテナンス性がより重視されるとの見通しを明らかにした。

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