【記者座談会】新型コロナウイルス対策ガイドライン/企業の中期経営計画 | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

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【記者座談会】新型コロナウイルス対策ガイドライン/企業の中期経営計画

A 国土交通省が政府の基本的対処方針などを受けて、『建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン』を策定した。
B 建設現場や現場事務所を含むオフィスの「感染防止のための基本的な考え方」「講じるべき具体的な対策」を整理している。工事の一時中止など入札契約に関する対応、感染拡大の防止対策費用を設計変更の対象とする設計積算の取り扱いを示すほか、感染予防の前提となる“3つの密”の回避に向けた取り組み事例などを掲載している。
A 建設業団体の対応はどうかな。
C 日本建設業連合会は同ガイドラインを踏まえ、元請事業者の立場から建設現場を適切に運営・管理する上で求められる予防対策・体制を盛り込んだ独自指針を作成した。分かりやすい内容であるとともに、下請事業者や建設技能者との連携のあり方にも言及しているのが特徴だ。
D 全国建設業協会は、各都道府県建設業協会と会員企業が建設現場で実践している感染予防対策を募り、事例集としてまとめた。カラーコーンや白線による配列間隔の確保、朝礼への参加人数の縮小、アクリル板や段ボールを使用した簡易なパーティションの設置、作業員の作業中の間隔確保、室内作業や昇降機の人数制限、送風機の換気使用、予防意識の高揚に寄与するポスターなどの掲示、テレビ電話ツールの活用などを写真付きで紹介している。
B お金をかけずに続けやすい工夫が多い。コロナ禍の長期化を見据え新しい生活様式への移行が求められる中で、これらの取り組みが浸透していけば、地域建設業でも現場従事者の安全確保を念頭に置いた新たな作業習慣が定着するかもしれないね。
C 夏本番を控え、日建連では高温時のマスク着用についても注意を呼び掛けている。クーラー使用に伴う密閉空間の発生など、熱中症対策と感染予防対策の両立が今後の課題となりそうだ。

◆市場変化に対応できた企業が目標達成か

A 話は変わるが、新たな中期経営計画を発表した企業も多いようだけど。
E 3月下旬以降、ざっとみても建設企業は東洋建設、イチケン、大末建設、日特建設、五洋建設、大豊建設、東亜建設工業が発表した。設備企業では九電工、ユアテック、新日本空調、朝日工業社、トーエネックが公表した。ほとんどが2021年3月期から23年3月期までの3カ年計画だが、九電工とユアテックは25年3月期までの5カ年計画になっている。
F 紙面を読む限りでは、新事業・領域拡大や研究開発、設備投資への取り組みに触れているが、投資額を明示した投資計画は五洋建設と東洋建設ぐらいかな。また、新型コロナウイルス感染症対策に言及する企業も複数あるものの、この段階では中計の数値目標に影響をほとんど反映できていないとみられる。今後の状況によっては、中計数値目標などの修正があるのかもしれない。
G 逆に高砂熱学工業は、決算発表と同時を予定していた中計の公表を延期した。中計には感染拡大の影響や今後の事業環境変化を一定程度反映する必要がり、いまは影響の見極めが難しく、公表が投資判断に混乱を生じさせる可能性があると判断した。中計の公表をめぐっては、企業判断が分かれた格好だね。
E いずれにせよ「アフターコロナ」で市場環境は大きく変わる。変化に対応して、新たに生まれるであろうビジネスチャンスをつかむ企業が中計目標を達成し、企業価値を高めていくことになると思う。

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