【記者座談会】東京都2020年度予算案/都内大型プロジェクト動向 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】東京都2020年度予算案/都内大型プロジェクト動向

A 東京都の2020年度予算案がまとまった。一般会計は前年度比1.4%減の総額7兆3540億円で、過去2番目の規模だ。
B 今回の予算のキーワードは「五輪の成功」「東京の成長と成熟」だ。7月開催の東京五輪に向けた総仕上げを行うとともに、春から商用サービスが始まる5G(第5世代移動通信システム)の積極的な環境整備や、脱炭素化関係の取り組みなど、五輪後の東京の成長のための基盤を整える施策を盛り込んだ。
C 投資的経費は2割減の1兆0493億円だった。五輪関係の施設整備が一段落するためで、この数年の推移でみると、引き続き1兆円台の高水準となっている。
D 防災や都市機能の強化に向けた予算は合わせて約6300億円が計上された。特に防災では19年の台風被害などを受けて水害対策になる調節池の整備などを積極的に進める。環七地下調節池の延伸や、石神井川・境川の調節池などの事業にも着手する。
B 19年度に国から土地と建物を購入した国立総合児童センター「こどもの城」(渋谷区)は、改修に向けた設計などを行うとともに、周辺都有地と合わせた長期的活用を検討する。築地市場跡地については、再開発に向けた検討経費を計上した。ほかにも多摩モノレールの延伸など、ハード事業は潤沢な状況だ。
A 今回の予算は、小池百合子知事の任期中最後の予算編成となった。五輪大会前には知事選挙がある。
C 五輪後には40年代の東京を見据えた長期戦略や、五輪のレガシーが残される臨海部の将来像が示される。大会に注目が集まる20年だけど、その後の東京を展望する重要な1年になりそうだ。
 

ビジネスタワー竣工 進化する虎ノ門ヒルズ

竣工した虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー

A 話は変わるけど、東京都内では大型プロジェクトに関する動きがあったようだね。
E 虎ノ門一丁目地区市街地再開発組合(東京都港区)による約17万3000㎡の複合ビル「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」が竣工した。14年に誕生した虎ノ門ヒルズ森タワーと、今回のビジネスタワー、建設中のレジデンシャルタワー、ステーションタワーが加わると、虎ノ門ヒルズ全体は区域面積7.5ha、総延べ床面積約80万㎡に拡大する。
F 6月には東京メトロ日比谷線の「虎ノ門ヒルズ駅」がオープンする。しかし、駅名に民間施設の名称が付いたのには驚いた。東武鉄道の「とうきょうスカイツリー駅」や、西武鉄道の「西武遊園地駅」など自社開発施設の名称を付けるケースはよくあるが。
G ネーミングライツ(命名権)ビジネスでは、数年間限定の権利として多額の対価を支払うことが多い。しかし虎ノ門ヒルズ駅は命名権ではなく、森ビルによると「駅名に関して金銭のやり取りはない」そうだ。おそらく恒久的に使われる駅名だし、そう考えるとPR効果は非常に高い。それだけ虎ノ門ヒルズのインパクトが大きく、関係者の期待も大きいということだろう。
A 一方、三菱地所グループは「長期経営計画2030」を策定した。このうち重点的に取り組む大手町・丸の内・有楽町エリアのまちづくりを「丸の内NEXTステージ」と位置付け、30年までに6000億-7000億円を投資するという。
E 大手町や丸の内での更新がほぼ一巡し、開発の舞台は常盤橋や有楽町、神田などの周辺エリアにシフトする。計画期間中の開発総延べ床面積は110万-130万㎡の規模となる見通しだ。
C 三菱地所は、大手町のオフィス街の真ん中に温泉を掘って日本旅館をつくった。ある種、型破りな取り組みをまちづくりに織り込んできただけに、NEXTステージでの開発も楽しみだ。

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