【記者座談会】東京都19年度予算案/業務の平準化 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】東京都19年度予算案/業務の平準化

A 東京都の2019年度予算案は、一般会計が前年度比5.9%増の7兆4610億円と過去最大規模となった。
B 好調な景気を追い風に、税収が5.2%増の5兆5032億円と、過去最高に迫る水準となったことが一因だろう。多くの東京五輪競技施設が19年度中に竣工することもあり、投資的経費は19.3%増の1兆3269億円となった。会見で小池百合子知事は、「東京五輪施設の総仕上げの時期になる。都政を力強く前進させる予算となった」と強調していた。
C 特徴としては、頻発・激甚化する自然災害や地震に負けないまちづくりに注力する。水害対策は、8つの河川を対象に新たな調節池の整備と、環状7号地下広域調節池の延伸などを検討する。地震対策では、区市町村無電柱化補助緊急パッケージ(仮称)として「防災に寄与する路線」の補助率を拡充するほか、ブロック塀などの安全対策を進める。国立総合児童センター「こどもの城」(渋谷区)の土地・建物の購入費などとして609億円を新規計上し、周辺都有地と合わせた長期的活用のあり方も検討する。
B 市場・市場跡地の活性化では、豊洲市場千客万来施設事業用地のにぎわい創出事業、築地再開発検討経費を新規計上したほか、18年度最終補正予算案として築地市場跡地を中央卸売市場会計から一般会計へ有償所管換えする5623億円を計上した。
A 五輪施設以外でも大型事業が目白押しだね。
B ただ、19年度税制改正で地方法人課税の「偏在是正」措置により21年度以降、減収額が年間約8800億円となる見込みで、税収も景気変動の影響を受けやすいため、小池知事は「慎重に注視が必要」との姿勢を示している。

東京都江東区の辰巳の森海浜公園に整備される 東京アクアティクスセンター(19年1月時点の 大会時イメージ図)提供:東京都

国交省当初予算 業務に初の「ゼロ国債」

A ところで国土交通省の19年度予算案では、初めて業務の「ゼロ国債」が設定された。建設コンサルタント業界の反応はどうかな。
D 事前のアナウンスもなかったようで新聞の記事を見て驚いたという建設コンサルのトップも多い。ただ、ゼロ国債の活用自体は建設コンサルタンツ協会が18年度の各地方整備局との意見交換会の中でも納期の分散のためには必要と要望していたわけだから一様に歓迎している。
E 防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策の推進によって19年度以降、公共事業費が増大するのは確実だ。設計ストックの十分な確保も求められているだけに、建設関連業の業務量も間違いなく増える。4月から改正労働基準法が施行されるため、納期の年度末集中が改善されなければ大変なことになると懸念する声も上がっていたからね。
D 国交省の集計では16年度業務の83%が第4四半期の納期となっており、このうち3月単月だけで61%を占める。同省の目標では第4四半期を75%以下、うち3月は50%以下としているが、建コン協では第4四半期の納期を50%以下、3月納期は30%以下とすることを求めている。当初予算にゼロ国債を設定することで19年度の下期と20年度の上期に納期の山を分散することは可能で、制度的にも平準化が進むことが期待できる。
E とはいえ、現時点では約1095億円という工事も含めたゼロ国債の総枠が示されているだけで、内数としての業務の設定額は分からない。どのくらいのボリュームとなるのか、その効果も含めて建設コンサル各社のトップも注目しているところだ。

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