【記者座談会】脱炭素実現へ国民運動/訓練校連絡会議が勉強会 | 建設通信新聞Digital

5月13日 月曜日

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【記者座談会】脱炭素実現へ国民運動/訓練校連絡会議が勉強会

◆新しい豊かな暮らしへ官民協議会発足

A 2050年カーボンニュートラル(CN)の実現に向け、環境省が協議会を発足したようだけど。

B 脱炭素につながる新しい豊かな暮らしをつくる国民運動と、企業や自治体などが参加する新国民運動官民連携協議会の発足式が25日に開かれた。デジタル技術や環境に優しい製品・サービスを組み合わせた新しい暮らしを提案し、脱炭素型ライフスタイルへの転換を後押しするという。

C 発足式で西村明宏環境相は「脱炭素につながる生活スタイルは、我慢をするものではなく、豊かな暮らしをつくるものだ」と強調していた。初弾の施策として、オフィスで働きやすい服装を自由に選ぶ「オフィス服装改革」の推進、断熱リフォームなど住宅への省エネ設備導入、テレワーク推進の3本柱を掲げた。

A 脱炭素型ライフスタイルに転換するメリットは。

D 30年度までに温室効果ガスを13年度比で46%削減する政府目標の達成には、家庭部門での排出量を66%削減する必要がある。環境省は脱炭素の取り組みが進むと家計の負担が月3万円余り減少し、余暇が1日1時間以上増え、1世帯当たり年間最大43万円の節約につながると試算した。この新しい豊かな暮らしをつくることは、企業にとってビジネスチャンスとなる。

C それを裏付けるかのように、協議会には25日時点で313の自治体や企業、団体が参加表明し、うち企業は120社が参加している。建設・不動産分野からはアジア航測、鹿島、熊谷組、竹中工務店、清水建設、大成建設、大和ハウス工業、東急建設、戸田建設、TOTO、LIXIL、三井不動産、三菱地所などが参加する。環境省によると、協議会への参加企業は増えていくという。

B 今後は、脱炭素につながる新たな暮らしの全体像を体験するさまざまな機会や場を提供していく。2022年度はトライアルに位置付け、23年度以降に全国展開する。

東京都千代田区で25日夜に開いた脱炭素に向けた「新国民運動官民連携協議会」の発足式。「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしの10年後」の絵姿を明らかにした

人材育成の場を維持へ連携強化

A ところで先日、全国の訓練機関9者などで構成する全国建設関係訓練校等連絡会議が、人材確保・育成に向けて国会議員との勉強会を開いた。連絡会議発足の背景と、意見交換の中身はどんなものだったのかな。

E 連絡会議に参画する訓練機関の多くは、個社や取り組みに賛同する有志企業が運営している。一方、建設産業の入職者の減少に呼応して訓練機関への入校者数も減少しており、体制維持が厳しい状況にある。講師の確保や外国人材向けの講習なども悩みの種となっている。連絡会議ではそうした共通の課題に対応するため、各訓練機関の連携を強化し、教育水準の向上に向けた情報共有や講師の発掘、要望活動などに取り組む。

F 訓練機関が維持できなくなり、各地域で建設人材の育成の場が失われるようなことになれば、技術の伝承が困難になる。建設業は地域の守り手としての役割を担う公益性が高い産業だ。官だけ民だけということではなく「新しい公」という観点から活動を進める考えだ。

E 国会議員との勉強会では、ある訓練機関の代表が工業高校の建築科の生徒ですら条件面から製造業などに入職してしまうと窮状を訴えていた。建設業や訓練機関の課題について意見を交わした結果、出席した議員から連絡会議の活動に賛同が得られたという。今後も勉強会を重ねていく方針だ。

F 連絡会議は全国の訓練機関に参画を呼び掛けていく考えで、既に千葉県や茨城県でも訓練校設立の動きがあるという。活動の輪は今後広がりを見せそうだ。

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