【新型コロナ対策】全日本漁港建設協会が会員アンケート実施 企業の現状と抱える要望とは? | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【新型コロナ対策】全日本漁港建設協会が会員アンケート実施 企業の現状と抱える要望とは?

 全日本漁港建設協会(岡貞行会長)は、会員企業を対象とした「新型コロナウイルス対策の現状と要望に関するアンケート調査」の結果をまとめた。各社とも感染防止を徹底しつつ現場を稼働させる一方、新型コロナウイルス感染症の長期化を見据え、自社の資金繰りや感染症対策の継続に伴う市町村財政などへの影響を懸念している。

 同アンケートは5月1~13日に実施、正会員635社のうち、266社から回答を得た(回答率41.9%)。

 工期の見直しや請負代金の変更、工事の一時中止に関する受発注者間の協議は「なし」が89.4%で、「ある」は10.6%だった。

 現場の感染拡大防止策は「行っている」が97.6%。アルコール消毒液の設置と施設・設備消毒、マスク着用・うがい励行、事務所内・朝礼時・更衣室などの“3つの密”の回避が最も多く、作業場所の換気、シートを使用した飛沫防止、ウェブ会議の活用、事務員のテレワークなどにも取り組んでいる。

■報告・連絡体制、現場9割が構築
 感染者や濃厚接触者が判明した現場はないものの、判明時に発注者などへの報告・連絡体制が構築できている現場は約9割に上る。
 稼働中の工事については今後も「継続の方向」との回答が大半を占め、「資金に余裕がない」「協力業者の生活がかかっている」「一時中止した場合、離れた協力業者が戻ってくるか不安」との背景がある。このほか、「現場周辺地区に感染者がいない」「海象条件や後継事業への影響など、工期の制約がある」「発注者の指示、協議により工事継続の方向となった」「災害復旧事業など事業継続が優先されると判断した」との理由を挙げている。

■工期の見直し、中断の決定も
 一方、感染防止対策の体制づくりや資機材、作業員の確保が困難だとし、「工期の見直し」「中断」を決定した現場も散見される。
 自由意見では、「国や発注者は工事を中止した場合の経費負担などの補填指針を作成してほしい」「工事を中止した場合の下請けを含めた支援制度(中止期間中の待機料、作業船の休止・拘束費、下請けを含めた労務費など)を充実・整備してほしい」「工事を中止した場合、中止期間中の被災回避、現場保守費用の観点から部分引き渡しに応じてほしい」「前払いの積極的な活用により、資金繰りを支援してほしい」「感染者が発生した場合、労災認定され、指名停止などのペナルティーを科さないように、発注者や労基署に働き掛けてほしい」との要望が寄せられている。

■創意工夫で働き方改革
 また、会議・打ち合わせのオンライン化や、港湾・漁港工事で実施されている感染対策の有効事例の収集を求める声が聞かれ、コロナ禍に伴う創意工夫は働き方改革の推進にもつながりそうだ。
 会員企業の大半が自治体案件を受注の対象とすることから、コロナ対策の影響で市町村の財政事情がより一層悪化することを危惧(きぐ)しており、「市町村が管理する漁港への対策を充実してほしい」と訴える。
 アンケート結果は水産庁に報告済みで、コロナウイルス感染防止策の充実や事業継続に向けた支援措置の検討に活用してもらうよう要望している。

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