【焼失前の姿を後世に】名古屋城木造復元へ 28年度末竣工に向け実施設計&遺構保全調査中 | 建設通信新聞Digital

4月19日 金曜日

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【焼失前の姿を後世に】名古屋城木造復元へ 28年度末竣工に向け実施設計&遺構保全調査中

 名古屋市は、名古屋城天守閣の老朽化などの課題を解消するため、木造による天守閣の復元事業を進めている。2028年度末までの竣工を目標に現在、実施設計や基礎構造の検討、石垣などの遺構保全に関する調査を実施中だ。天守台石垣に生じている孕(はら)みなどの変状に対応し保全を図りつつ、全体完成を目指す。

20年6月現在の様子


 名古屋城は1609年に徳川家康が築城を決定し、翌10年にI期工事に着手。天守は12年11月に上棟、1-4階が瓦葺(ふ)きで、5階が銅板葺きだった。1752年からはII期工事がスタート、2-4階を銅板葺きとした。その後、1945年5月14日に米軍の空襲を受け焼失。49年、戦災により天守などの国宝指定が解除され、III期工事で天守石垣積み替えを実施した。市民から寄付金などを受け、56年から天守復興に向けた調査を開始。57年からIV期工事の天守閣再建に着手、59年に現在の天守閣が竣工した。

 2018年5月7日から閉鎖している現天守閣は、大天守(SRC造地下1階地上7階建て延べ5431㎡)と小天守(同地下1階地上3階建て延べ1347㎡)で構成。築後60年以上が経過し、老朽化や耐震性不足などの課題を抱えている。

 建築主は名古屋市、設計者は名古屋市建築局。施工者は間組(現安藤ハザマ)。所在地は中区本丸1-1。

 現天守閣の老朽化などの課題を解消するため、名古屋市は12年2月19日、市公館で「名古屋城の将来を語る市民大討論会」を開催。名古屋城の将来像について市民や有識者と意見交換した。木造復元には市民から賛否両論の意見があり、実測図に基づいた正確な木造復元を望む一方、現天守閣の耐震改修を求める声があった。河村たかし市長は熱田神宮と名古屋城を「尾張名古屋の誇り」とし、「後世に語り継げるものを残していくことが大事だ」と事業化に理解を求めた。

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