【6月中に安全性検証】NIPPOが路面マーキングに小型ロボット導入 人員・時間を大幅削減 | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

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【6月中に安全性検証】NIPPOが路面マーキングに小型ロボット導入 人員・時間を大幅削減

 NIPPOは、舗装準備工で実施する路面へのマーキング作業にかかる作業者への負担軽減や効率化などを目的として、小型ロボットの導入に向けた試験を進めている。GNSS(衛星測位システム)で自己位置を取得し、自動走行しながら路面へスプレーマーキングするロボットで、試用検証では作業人員・作業時間の削減に大きく貢献できることを確認。将来的には全国の舗装現場で使われることが期待される。

 導入に向けた準備を進めている小型ロボットは、デンマーク生まれの製品で、現在同社では2台を保有している。1号機には「エドガー」、2号機には「コービン」という名前が出荷時から付けられており、社員からはその名前で親しまれている。

コンパクトで取り回ししやすいサイズ


 長さ約80cm、幅約70cm、高さ約50cmで、重さは20㎏程度。1人でも運搬車両への積み卸しが容易な取り回しの良いサイズだ。あらかじめ現場座標に合わせて設定した線形データを読み込み、GNSSで自己位置を取得しながら線形どおりに自己走行し、路面にスプレーでマーキングする。スプレーの位置はロボット中央だけでなく、左右にオフセットさせることも可能だ。

 操作には専用アプリがインストールされたタブレット端末を使用し、端末からはオフセット間隔などを編集することもできる。VRS(仮想基準点)方式でのGNSS測位のため、SIMキャリアの通信網外では使用できない。

操作には専用アプリの入ったタブレットを使用


 現在、i-Construction施策の推進により、舗装工事においてもICTやIoT(モノのインターネット)技術が導入され、生産性や安全性向上の取り組みが盛んに進められている。しかし、依然として身体的苦渋や危険性を伴う非効率的な人力作業も残されているのが現状であり、準備工での舗装や路面切削の通り出しのための路面マーキングもそうした作業の1つだ。

 同社は、この作業の生産性および安全性を向上させるために、2016年からさまざまな装置の調査・開発を試みており、今回のデンマーク製の小型ロボットについては19年から調査を開始している。

 同機材について、相田尚技術本部総合技術部担当部長生産開発センター長兼ICT推進グループ課長は「将来的にはレンタル会社などが数百台規模で取り扱い、全国の舗装会社が使うようになる可能性を秘めた機械だ」と考えている。これまでに空港の舗装修繕や港湾のヤード舗装、施工面積が広大な民間工事など7現場で試用を実施している。従来の方法では、測量班2人、マーキング班3人の計5人での作業が標準だが、同機材を使用すれば測量からマーキングまでを1人でこなすことができ、検証の結果、各現場で平均して作業人員は75%削減、作業時間は60%短縮できたことを確認した。

 また、通常のマーキング作業は作業者が屈んだ姿勢を取る必要があるが、同機材はその必要がないため人員の身体への負担も大幅に低減でき、検証を実施した現場からは好評を得ているという。安全性に関しては、6月中に高速道路の維持修繕工事で実施する供用車線際の通り出し作業で検証に当たる予定だ。

車両が通行するすぐ隣で行われる従来の作業には危険が伴う


 導入に向けては、操作用タブレットの日本語化や取り扱い説明書の日本語版改訂と簡易マニュアルの作成、暴走・逸脱防止など安全対策装置の確立といった国内仕様への改良も進めている。

 さらに、同社はこの小型ロボットを舗装準備工での通り出しだけでなく、自動追尾型トータルステーションを併用した出来形確認や、埋設物の探査レーダーを取り付けてどこに埋設物があるかを表示させるなど、幅広い用途に活用範囲を広げていくことも検討している。相田氏は「当社としては、まずは2、3年のうちに10数台を導入して全国の現場に投入していく」と語った。

小型ロボット作業風景

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