【記者座談会】築地市場移転問題の集中的検討始まる/給与引き上げで人材確保に乗り出す業界 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【記者座談会】築地市場移転問題の集中的検討始まる/給与引き上げで人材確保に乗り出す業界

築地改修案の完成予想。段階的に解体・撤去し、営業しながら順繰りに建て替えていく。調査・企画に1年半、工期は5年半を想定


A 小池百合子東京都知事が設置した「市場のあり方戦略本部」の初会合が4日に開かれたね。
B 小池知事自身が築地市場の豊洲移転の可否を総合的に判断するための場で、「都民の理解と納得」「豊洲、築地各市場の課題」「市場の将来のあり方」の3つをテーマに都自ら総点検するとともに、市場関係者や消費者、生産者、物流業界、経営者などに幅広くヒアリングを実施し、集中的に検討していく。
C その判断時期は「しかるべき時期」と小池知事は明言を避けたが、昨年11月に会見で公表したロードマップでは最短で今夏に総合的に判断するとしており、そこが1つの目安となる。7月に控える都議選後という可能性が高い。
A そういえば、市場移転を検証する市場問題プロジェクトチームが小島敏郎座長(青山学院大教授)の私案をベースに築地市場改修案を提示したようだね。
B 築地市場を段階的に解体・撤去し、営業しながら順繰りに建て替えていく案で、調査・企画に1年半、工期は5年半を想定している。総事業費は734億4115万円で、土壌汚染対策費は含まれていない。
C 築地市場を存続させる場合、豊洲市場の後利用や売却もセットに考える必要がある。また、豊洲市場建設には国費208億円が投じられており、市場として使わない場合、その国費を返納しなければならない可能性もあるため、そうやすやすと築地市場改修案に落ち着くとは思えない。
D いずれにしても都民の安全・安心に対する納得が不可欠であり、こうしている間にも1日約500万円の維持費が豊洲市場にかかっており、ワイズスペンディング(税金の有効活用)の観点から早急な判断を期待したいね。

一時金やベア、初任給の引き上げで処遇改善へ

A 話は変わるが、建設産業界にも新入社員が入ってきた。人材確保のために各社とも「働き方改革」と処遇改善に取り組んでいるけど、今年度はどうだったかな。
E 大手ゼネコンは、大林組が4年連続、清水建設が3年連続のベースアップ(ベア)を発表した。大成建設は、30歳代前半までに対象を絞って基本給を引き上げた。2月時点の本紙のアンケートでも大手・準大手ゼネコン31社の7割超が一時金を含めた賃上げを検討していたから、給与引き上げは確実に広がっている。
F 建設コンサルタント業界へのアンケートでは、賃上げを「検討している」「検討していない」がほぼ同数で、公共事業が安定的に推移していても、それが賃上げに直接結びついているとは言い難い。ある大手コンサルは期末業績と連動した一時金と翌期のベアを検討するなど、業績に応じて対応しやすい一時金での対応もみられる。
G 建築設計事務所でも安井建築設計事務所のように若手の基本給を引き上げる企業がみられた。設備工事業でも、アンケートでは28社中13社が賃金引き上げを検討していたし、東洋熱工業などのように初任給を引き上げる企業も多い。
E ゼネコンでも初任給を引き上げる企業は多い。初任給は、就職活動中の学生にとって1つの企業選択条件になっているようだから、“売り手”優位といわれる中で、他社に見劣らない額にしたい企業は多いだろう。ただ、スタート時点の給与が上がるだけで、全体の賃金ラインが引き上がるわけではないから、長い会社員人生にはそれほど影響はないけれど。
A 厚生労働省国立社会保障・人口問題研究所の発表で、人口減少がまた明確になったから、業績好調が続く限り、各社による処遇改善の傾向は続きそうだ。

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