【記者座談会】市場移転問題「築地は守る、豊洲は活かす」 具体案はどうなる | 建設通信新聞Digital

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【記者座談会】市場移転問題「築地は守る、豊洲は活かす」 具体案はどうなる

6月20日に行われた小池都知事の臨時会見。基本方針を示す会見は約30分で打ち切られた


A 東京都の市場移転問題で20日、小池百合子知事が基本方針を示したね。
B 豊洲移転か築地再整備かと注目が集まる中、示された方針は「築地は守る、豊洲は活かす」という市場の両立案だった。市場機能を豊洲に移転した上で、築地市場は民間事業者とともに土地を有効活用し、5年後をめどに再開発する。豊洲は冷凍冷蔵・物流・加工などの機能を強化して将来にわたる総合物流拠点とする計画だ。
C 小池知事は会見中の質疑で「豊洲は新たな中央卸売市場としての機能を優先させ、築地も市場機能を確保できる方策を見出したい」と発言した。築地は都にとって「莫大な資産」のため売却は考えず、貸し付ける。隣の浜離宮庭園の活用も想定している。築地は「築地ブランド」を生かした「食のテーマパーク」機能を持つ東京をけん引する一大拠点とし、豊洲は「ITを活用した総合物流センター」とする。両市場を通ることになる環状2号は2020年の東京五輪前に開通させ、築地市場跡地は当面、五輪用の輸送拠点として活用するという。
A 収支面は大丈夫なのだろうか。
C 「賢い支出のための選択」により、持続可能な市場を構築できるとしている。豊洲の機能強化による賃料改善と、築地の賃料や地代収入などで両市場会計を黒字化する見通しを立てている。築地市場の再開発は、銀座からも近く立地がいいだけに、その動向に注目が集まるね。特区制度を活用するという話も聞こえてくるけど。
D ただ、スケジュールや両市場の具体的な機能分担などは何も示されていない。「詳しい日程は市場関係者と話を詰めなければいけない。税金を新たに投入しないように、検討させる」と答えるにとどめた。2つの市場を本当に維持できるのかという疑問も残るね。
A 小池知事は、これまで市場移転問題の方向性を示す時期を、なかなか明言しなかった。都議会自民党には「決められない知事」と批判されていた。
D 13日に市場問題プロジェクトチームが豊洲移転案と築地市場改修案を併記した1次報告書を小池知事に提出、15日に開かれた「市場のあり方戦略本部」の会合では、豊洲移転の築地用地長期貸し付けなど4パターンの収支試算結果が示されていた。いつどの段階で、どのようにして今回の「総合的な判断」をしたのだろうか。
B 23日の都議会議員選挙の告示を控え、方針を示すのは(毎週金曜の)定例会見がある16日かと見る向きもあったが、実際には告示3日前の20日の臨時会見だった。
C 会見は、午後3時30分からと当日知らされ、「その後の公務のため」として、会見時間も30分間と指定された。質疑も3人で打ち切られ、会見場に詰めかけた記者からは不満の声も挙がった。基本方針を示す会見としては、あっけなかった。
B 基本方針は、このタイミングで発表したことから、選挙をにらみ豊洲派と築地派の両方に配慮したという見方もできる。都議会自民党は、21日に発表した統一見解で「結論先延ばしの折衷案。都議選しのぎの思い付き」と批判した。
A 22日には市場移転に関する関係局長会議や、知事と築地市場業界団体代表との会談も開かれるなど、急に慌ただしくなってきた。きょう23日の定例会見で、より具体的な案が示されるのか、小池知事の発言が注目される。

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