【記者座談会】平成最後の通常国会/築地市場跡再開発で素案 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

公式ブログ

【記者座談会】平成最後の通常国会/築地市場跡再開発で素案

A 平成最後となる通常国会が1月28日に召集された。公共事業関係費が10年ぶりの高水準となった2019年度予算案や「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」の対策経費が盛り込まれた18年度第2次補正予算案と、予算関係では建設業にとって久々に明るい話題をふりまいているね。
B 19年度予算案については、10月からの消費税率の引き上げや、防災・減災、国土強靱化の推進に対応する「臨時・特別の措置」の上積みもあり、政府全体の公共事業関係費は前年度比約15%増の6兆9099億円、09年度の約7兆1000億円に届く伸びを示している。1兆1398億円が計上された2次補正の公共事業関係費と合わせて建設業界の期待も膨らむ。
C 成立時期はもちろんだが、業界の関心はむしろ予算成立後の執行体制に集まっている。災害復旧費を中心とした18年度1次補正と2次補正の早期成立で、切れ目のない工事発注に期待が寄せられている一方、地域建設業からは円滑な執行体制や事業量増加への対応を不安視する声も出始めている。
D 実際、18年7月豪雨で大きな被害に見舞われた地域の地場建設業者からは、1次補正が審議中の昨年秋の段階で、膨大な事業量の増加に施工キャパシティーが追い付かないという声も上がっていた。とはいえ、対応できないとなれば、再び公共事業不要論の圧力が強まる可能性もある。円滑な予算の執行に向けた、官民一丸となった取り組みが求められる。
B 4月の統一地方選挙、7月の参院選を見据え、国会審議では与野党の激しい攻防が予想されるが、喫緊の課題である防災・減災対策、国土の強靭化をスムーズに進めるためには、予算の早期成立・執行が欠かせない。

1月23日の関係局長会議で「築地の価値を最大限生かし、新たな『東京ブランド』を創造・発信していく」と語る小池知事

◆国際会議場が中核の「創発MICE」形成

A 話は変わるけど、築地市場跡地再開発について、東京都が「築地まちづくり方針(素案)」を公表したね。都心の一等地23haの行方はどうなるのか。
E 20年東京五輪後、跡地を民間事業者に貸し付け、土地を4つのゾーンに分け、段階的に整備する。40年代の将来像として、国際会議場などを中核とし、大規模集客・交流施設、研究開発施設、ホテル、レストラン、サービスアパートメントなども備えた「創発MICE」機能を持つ交流拠点を形成するとした。今後はパブリックコメントを経て、3月末の方針策定・公表を目指す。
F 都は「東京には国際会議場が足りない」というかねてからの指摘に応え、MICEの経済波及効果に期待する形となった。一方で、17年6月に小池百合子知事が基本方針として示した「食のテーマパーク」は素案に盛り込まれなかった。これについて小池知事は「『食のテーマパーク』を超えて、さらにウェルネス、文化、伝統などを含めた形で築地で展開する」とし、基本方針で示した豊洲と築地の市場両立案については「(市場関係者に)丁寧に説明していく」と語った。カジノを含むIR(統合型リゾート)機能の導入は「カジノは素案には盛られていない。素案をベースに進める」と話すにとどめた。
E 1年半の間に方針は「食のテーマパーク」から「創発MICE」へと大きく変わった。基本方針で示していた「築地は守る、豊洲は活かす」について、小池知事に説明責任を求める声もある。
F 今回の方針素案も、規模や具体的なイメージは示されなかった。先行地区の20年ごろの事業者募集に向け、時間はない。早期の具体化が求められる。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら