【記者座談会】新型コロナ対策で緊急経済対策・補正予算編成/商用洋上風力発電施設建設工事に着工 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【記者座談会】新型コロナ対策で緊急経済対策・補正予算編成/商用洋上風力発電施設建設工事に着工

A 一般会計の総額が102兆6580億円となる過去最大の2020年度予算の執行が始まった。
B 19年10月の消費税引き上げに対応する経済対策などが盛り込まれ、このうち公共事業関係費は6兆8571億円で、臨時・特別の措置を除く通常分が6兆0669億円、臨時・特別の措置が7902億円となっている。「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の最終年度に当たるが、19年度予算で重点措置していたため微減になった。
C ただ、この20年度予算には新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けている関連業界などに対する支援策は入っていない。焦点は政府の経済対策と補正予算の編成作業に移っている。
A その経済対策の策定状況は。
D 事業規模で56兆8000億円だったリーマン・ショック時の対策を上回る考えを安倍晋三首相が3月28日の会見で強調した。自民党は事業規模60兆円、財政支出20兆円を求めた経済対策提言をまとめたが、党内では不十分との意見が出ていた。
B 対策は感染拡大防止と医療提供体制整備、治療薬開発、現金給付、雇用維持と事業継続の支援策拡充などが柱になる。建設関係でいえば、「強靱な経済構造の構築」に向けた施策として、住宅投資回復のための対策などを検討している。
D 公共投資については、早期執行によって景気の下支えに万全を期す、との考えが示されているね。民需の落ち込みが危惧されている状況だけに、とにかく19年度補正予算と20年度予算における公共事業費の円滑な執行が求められているということだろう。

一般海域での施工にらみ各社が足場固め

A 話しは変わるけど、国内初の商用洋上風力発電事業となった秋田港・能代港の洋上風力発電施設建設工事が鹿島・住友電気工業JVで着工した。
E 事業者である秋田洋上風力発電(AOW)には大林組が出資しているので、恥ずかしながら、大林組が施工すると思い込んでいた。大林組が東亜建設工業と建造中のSEP船も10月には完成する予定だったから、初施工にはちょうどよいタイミングだと考えていた。
F 鹿島・住友電工JVは、総合評価落札方式の競争入札で落札したのだが、その入札には大林組も参加していたようだ。大林組は洋上風力発電について、これまでも事業者として参画する姿勢を示していたけれど、今回の1件でその姿勢が鮮明になったといえる。同社の蓮輪賢治社長は、当社の新年TOPインタビューで、洋上風力発電事業について「進展の時間軸が思っていたより遅く、各社がSEPの建造に舵(かじ)を切り、マーケットが混戦模様になることは否めない」と話していた。混戦模様の中で事業者としての立場を選択したのだろう。
G 鹿島JVの施工範囲は基礎と海底ケーブルのEPCI(設計・調達・施工・据付)で、風車はメーカーが設置する。ただし、設置のためのSEP船は鹿島JVが供給して、欧州から持ってくることになる。鹿島と五洋建設、寄神建設が共同で建設しているSEP船は23年の稼働を予定しているからね。ただ、商用第1号の施工に携われるのは、鹿島にとって大きなアドバンテージになるだろう。
E 洋上風力の市場はこれからまだまだ拡大する見込みだ。五洋建設がベルギーの大手海洋土木会社と協働することを決めるなど各社とも着々と足場を固めている。次のターゲットは、一般海域での施工が本格化する24年ころだろうね。

国内初の商用風力発電事業となった秋田港・能代港洋上風力発電事業で採用するモノパイル式洋上風車のイメージ。秋田港の港湾区域に13基、能代港に20基の計33基を設置する。総発電容量は、国内最大規模の約140メガワット


 
 

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