【地元産建材を随所に】教育施設研究所 丹波市山南地域統合中学校設計に込めた想いとは | 建設通信新聞Digital

4月19日 金曜日

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【地元産建材を随所に】教育施設研究所 丹波市山南地域統合中学校設計に込めた想いとは

 兵庫県丹波市は2校を統合して移転新築する山南地域統合中学校の整備事業を進めており、このほど、基本設計・実施設計業務の公募型プロポーザルで教育施設研究所を特定した。提案に向けて同社大阪事務所では設計部門、営業部門の5人でチームを組み、全体のまとめ役を担った藤崎洋進主任は「学校建築計画や設備に関してさまざまな情報を交換し合うなど一致団結して提案をまとめることができた」と振り返る。

八田所長(左)と藤崎主任


 統合校は現在の山南中学校と和田中学校を山南中央公園に統合・移転新築する。敷地東側にある体育館とプールを解体し、そこに校舎などを建設する。

 新築規模はRC造3階建ての校舎、同2階建ての体育館など総延べ約7500㎡。予定工事費は23億6000万円(税別)と想定している。設計の委託期間は2021年3月25日までで、建設工事を経て23年4月の開校を目指している。

 同社は19年8月に実施されたプロポーザルを経て基本計画策定業務を受注しており、業務を通じ建設に当たっての課題認識などの強みがあった。それだけに負けられないというプレッシャーも大きく、さらに「どうしても自社でまとめた基本計画に縛られ、自由な設計提案がしにくい」(藤崎主任)という面もあった。

 提案に当たっては、全体の事業コストを抑えることが大きなポイントと見定め、「建設地は高低差があるが、造成を最低限に抑えるコンパクトで経済的な提案に注力した」(同)という。

 限られた建設敷地ではあるものの、これからの教育を支える多様な学習空間や、統合校としての一体感の醸成に配慮し、施設面積を抑えたコンパクトながらも中庭を囲む回廊型プランによる魅力的な学校づくりを目指した。

 地元産の建材を随所に取り入れる工夫し、ランチルームの内装の一部に桧の樹皮を成型した材料を使って施工する「桧皮葺(ひわだぶき)」を使い、地元の焼き物をタイル状にした「丹波焼タイル」を外構部分に採用することも提案した。

桧皮葺を使ったランチルーム


 ただ、これらの生産量には限りがあるため、「調達法を考える必要があり、特殊な工法なので施工するゼネコンにも理解・協力をお願いしなければならない」(八田利幸所長)という。

 コンセプトは『地域と子どもの未来を拓く学校』。これからの設計について藤崎主任は「地域の未来がかかるような重要なプロジェクトであり、地元の方々や発注者の期待に応えられる建物としたい」と意気込む。

 同社は教育施設を中心に事業展開していることもあって、「意匠性ももちろん追求しているが、デザインと安全を二者択一する場面があれば安全を優先する」(八田所長)というように、学校での生活や安全性を重視した確実な設計を得意とする。

 この施設も長寿命や使いやすさ、利用者の安全性を重視する方針で、そのベースには「この施設で学び育った子どもたちが、山南地域の発展を支えるようになってもらいたい」(藤崎主任)との思いが込められている。

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